エキヴォケーション

作者 星崎ゆうき

46

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★★★ Excellent!!!

この世界とは違う過去をたどってきた世界。
あるいは、異なる未来を歩んでいく世界。
そんな平行世界がもし存在したとしても、きっとほとんどの人が、今の世界に閉じ込められたまま生きていくのだと思います。

けれど、この物語は世界の境界線を超える能力を持った青年・亮が主人公です。
初めは『それ』が何なのか分からず、不意に覚える、他者と自分の見る世界に違和があることに不安を覚えていました。
一種の幻覚かもしれない──親身になってくれる医師もそう診断します。
亮のことを理解して、穏やかに受け止めてくれるのは同僚の望。
そんな望が、境界線を超えて意識を失ってしまったことから、亮は能力を自覚し、様々な世界に望を救う手がかりを探しにいきます。
しかし、繰り返し境界線を超えることには、大きなリスクが──

意識を失った望は、どの世界線に行ってしまったのか。
作中にはいろんな望が登場します。
亮を知らない望。
亮を亡くした望。
いったい、いつもそばにいてくれた望がいる世界はどこ?
そんな緊張感が後半から物語を加速させます。

そして、ラスト──
亮と望の絆は、果たしてつなぎとめられるのか。
それは作品を読んでみてほしいと思います。

大切な人を救うために世界を超越するSF小説です。

★★★ Excellent!!!

他の方の感想を見て気になってふと読んでみたら、面白くて一気に読んでしまいました!
この作品は簡単に言えばパラレルワールドものなのですが、その設定がありきたりではなく、凄く理論的で説得力があるんです。
そして、その理論的で哲学的な内容にも関わらずでも凄く分かりやすくて、なおかつ幻想的でロマンチック!
まるでゆったりとカモミールティーを飲んでいる時のような美しく澄んだ空気感を感じます。
SF好きの方にもそうでない方にもぜひ読んでもらいたい、一緒に世界の秘密を解き明かしてもらいたい、そんな一作です。

★★★ Excellent!!!

文章が凄く丁寧で、読み易いです。6万字ちょっとの作品なので、スンナリと読了できます。
だから、SF(特にパラレルワールド物)の好きな方、真理とか哲学とか頭の体操の好きな方は躊躇せずに、まずは読んでみましょう。
さて、本作品の世界観ですが、私は知恵の輪を連想します。針金製の2つの鍵を組み合わせただけの単純な構造。でも、中々に2つの鍵を分離させられない。
本作品も、作者の伝えたい事はシッカリと伝わってくるのです。でも、頭の中で咀嚼に藻搔いている自分が一方にいる。この知的チャレンジを楽しんでみて下さい。

★★★ Excellent!!!

この世界は世界であって、たったひとつの世界ではない。
そして、知覚可能なものは真実である、そのある種の自覚は果たして本当に真実なのか。

自分が解釈してきた世界は、あなたが当たり前だと解釈してきた世界が本当は違ったものだったとしたら?
そう考えると足元がぐらりと揺れる。

それでも、護りたいもの、取り戻したいものがあるなら行くしかない。
例え引き換えに、何かを消滅させてしまうことを分かっていても。


自分が今まで感じていた、現実と感覚と思考をじっくり考え直したくなる作品です。
どこまでも掘り下げて考えたくなる奥行きも魅力あふれる作品でした。
ありがとうございます!



★★★ Excellent!!!

パラレルワールドを題材とした展開は最後まで読まなければ理解できないことって多いと思うのですが、これだけの多重構造にもかかわらず、あっという間に読み終えてしまいました。

人によっては違和感で手を止めてしまうかもしれない。ただ、その後矛盾らしきものが徐々に解決していくので、まずはざっとでもいいので最後まで読んでほしいのです。最後まで読むと、この話の世界観が何で成り立っているのかがなんとなくわかってくるかと。

医療に従事されている青嶋さんの独自視点と希望、患者に対する真摯なお気持ちを垣間見ることができる、すばらしいお話だと思いました。