この世界は世界であって、たったひとつの世界ではない。
そして、知覚可能なものは真実である、そのある種の自覚は果たして本当に真実なのか。
自分が解釈してきた世界は、あなたが当たり前だと解釈してきた世界が本当は違ったものだったとしたら?
そう考えると足元がぐらりと揺れる。
それでも、護りたいもの、取り戻したいものがあるなら行くしかない。
例え引き換えに、何かを消滅させてしまうことを分かっていても。
自分が今まで感じていた、現実と感覚と思考をじっくり考え直したくなる作品です。
どこまでも掘り下げて考えたくなる奥行きも魅力あふれる作品でした。
ありがとうございます!
パラレルワールドを題材とした展開は最後まで読まなければ理解できないことって多いと思うのですが、これだけの多重構造にもかかわらず、あっという間に読み終えてしまいました。
人によっては違和感で手を止めてしまうかもしれない。ただ、その後矛盾らしきものが徐々に解決していくので、まずはざっとでもいいので最後まで読んでほしいのです。最後まで読むと、この話の世界観が何で成り立っているのかがなんとなくわかってくるかと。
医療に従事されている青嶋さんの独自視点と希望、患者に対する真摯なお気持ちを垣間見ることができる、すばらしいお話だと思いました。