第3章 神の人をして病臥せしむ
一 邂逅
神の足跡の
「足元の葉を払ってみてください。見たこともない
先生に言われて足元を払えば、果たしてそこには見たこともないほどに太い
「それで、先生はその白蛇の神というものには会われたのですか」
私の目的はただそれだけでございました。しかし先生は静かに首を振ります。
「先生はどのようにお考えでしょうか。その白蛇の神を
いまになって思えば、これは気の狂った人の考え方でございます。つい2週間前には神が病をなすことなどあり得ないと笑ったその同じ人が、いまや神を殺せば病が治るとばかり考えているのです。その様子を見て、先生は静かに切り出しました。
「馬渕さんがおっしゃるには、蛇はかつて神であったようです。近年西洋の学者がcord marked pottery、
「しかし我が国古来の神と申せば、
「
「
「
そこまで話すと先生は目を丸くして私の後ろに視線を釘付けにいたしました。私もすぐに何が起こったのかを悟りました。恐る恐る振り返れば、そこには真っ白な
わたしは先生の方に静かに後退り、
「先生、神殺しの罪はいかほどのものでございましょう」
私は震えた声で先生に尋ねました。覚悟をしていたつもりでしたが、いざそれを前にすると膝が震えて歩みでる勇気がございません。先生は私の問いかけに答えることをせずに、ただ私の肩に手を置いて、もう片手で私の握ったメスを受け取りました。
「
そう言うと、先生はわっと白蛇に踊りかかります。膝も笑っていた私でございますが、先生の思わぬ勇ましさに体の方が動いてくれました。たちまちのうちに先生の腕首に巻ついた白蛇を力ずくでむんずと引き剥がし、その恐るべき力に必死に食い下がります。先生はただ白蛇の首根っこを押さえて、頭と首に幾度もメスを刺し続けておりました。
蛇の
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