三 信じる神は何処に
私が必死に梅子の治療をしている間に、先生は白蛇の
むろん先生に言わせてみれば、それこそが病を
これは後で聞いた話ではございますが、先生もすぐに梅子の元に向かおうとした様子でございます。しかしそこで私たちが昨晩『神の足跡』に入ったことを知った萩野ぎんさん率いる一団と
ぎんさんたちは
「私は『神の足跡』で神に
田舎村人が弁舌で先生に勝るはずもございません。その後いくつか聞かれた反論も、先生が口から出るに任せて様々のことを述べ、ついに村人たちを言いくるめてしまったそうでございます。先生曰く、何としても白蛇の
ようやく村人を追い返した先生でしたが、その調子ではいつ村人が忍び込むか知れたものではございません。貴重な検体を無駄にするくらいならば、一刻も早くそれを解剖するのが何よりも優先されるとご判断なされたそうでございます。先に申し上げた「私を信頼していた」とは、このときのことをお話になったときの先生の弁にございます。とは申しましても、先生が信頼していたのはむしろご自身の教育力だったようでもございますが。
ともあれ、先生はいよいよ
そうしてわかったことはあまりに常識的で、こう言って差し支えなければ、科学的なものでございました。私はその結論にあまりに拍子抜けさせられ、そして喜一郎を笑った自分をいくらか恨めしく思いました。
すなわち、この蛇はただの白い蛇に他ならなかったのです。ただ私たちの
それでも得るものがあったのも事実でした。この蛇には数日前にものを食べた
このことを聞いて、私はいよいよ梅子に聞いたこの病の
しかし先生はそれを聞いてもなお、ただ目をつむって考え込むばかりでございます。しばらくして先生は今日は寝なさいと私に命じ、明日になれば確かめなければならないことがありますと言い置きました。私は今一度梅子のもとに向かい今日はそちらで眠りますと伝え、宿所を後にいたしました。
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