第19話 最後まで読ませる力…。

 小説もエッセイも、最後まで読ませることが作家の力量としての資質であり、最重要課題かなと思う。小説然しょうせつしかり、エッセイしかりである。


 最後まで読ませる力っていうのかな、最後まで飽きさせずに小説を読ませる力、エッセイを最後の1文字に至るまで興味を失わずに読ませる力というのがこの界隈では強く求められていて、これがとても意味のあることなんじゃないのかなって思う。


 よく前半だけ、というより、最初だけ気張って書いてあって、中盤から中だるみが顕著になり、読者が途中でダレてしまう作品に出会う。


 やはり小説にしろ、エッセイにしろ、なにかしら読者を軽い興奮状態に導くものでなければならないし、アイ・オープナー(開眼)させる蘊蓄うんちく、そして更にトリッキーなものが備わっていないと、読者を最後まで読み進めさせることができないように思う。


 やはり小説もエッセイも、読者の目が慣れるまでのせめて前半部くらいまでは、読者を強く意識して物を書くべきで、何かしら心に、さざ波を立て、感情を高揚させるものでないといけない。


 エッセイでも全体の半分まで読ませることができれば、もうしめたもので、既に読者には作家の免疫ができ始める頃なので、そこから先は、読者が脳内で勝手に作家の不備、文字の補完をしてくれるでしょうから、ここまでくれば多少の文章の荒さはなんとかなる。


 もしも自分の作品、前半部分の第2話、第3話を読んで、すぐに読者が離れてしまう傾向が強いなら、前にも書きましたが、作品の順番を入れ替えてみたり、なにかしら工夫が求められる転換期に差し掛かっているのかなと思う。


 結論から言えば、読者は作家の裏側、生い立ちや思想、作家の思い描く人生訓まで、作品のエッセンスとして読み込む性質を併せ持つので、人格磨きも侮ることはできない。1話、2話で読者が読むのをやめてしまう作品には、なにかしらの原因がある。


 もしも工夫、改善が求められているのなら、対策を万全に整えなければならないし、もしも対策を怠るようなことがあれば、読者離れの無間地獄が待っていることを頭の隅に、しかと置くべきである。


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