第5話 ネットショップの沼

 前回、刃物や刀剣類は向こうでは日常的で、目が肥えている事もあってあまり高くは売れなかった。

 そこで今回は暖房器具を買い付け、それを売ろうと思っている。

 

 いつも通り、ショッピングサイトで良さそうなものを物色する。

 

「電気製品は除外だな、壊れるから」


 そう、異世界へ通じる穴は電子回路を破壊し、電池の電力を消耗させて使えなくしてしまう。

 

「石油ストーブは…サイズ的に厳しいか」


 穴の直径は36cmである、長いものは良いが立体的に大きなものは通らない。


 となるとガスストーブだが、向こうでガス缶なんて入手出来ないので、使い物になるか微妙な所だ。

 ふむ、意外と条件が厳しいかもしれない。

 そんな時見つけたのがネイチャーストーブと言う奴だった。

 燃料は薪や小枝や松ぼっくりなど燃えるものなら何でも良くて、更に最近のは煙が少なく火力が強い二次燃焼を起こすタイプもあるらしい。

 しかも値段が2千円位、これはとりあえずポチっておこう。

 となると、火をつける道具も居るねって事で現代版火打ち石のファイアースターターもポチッ。

 あとそうだな、前回迷惑を掛けたかもしれないお詫びに、野上さん用の使い捨てカイロ50個パックも安いからポチッ。

 こんなところかな。

 リンリンリン。

 おっ、竿が引かれたようだ。

 リールを巻き上げ手紙と売上を受け取る。


「前回の商品の売上と鑑定書をいつも通り送付させていただきます。

 また、お手紙にあった、前回何か異常は無かったかと言う話ですが、前回は何やら異臭が立ち込めており、それに釣られた魔物が集まりだしていたため、商品を受け取って即座に帰りました。

 もし荷がまだ残っていたりしてお手間を取らせていたらすみません。


 

 鑑定書

 外套 1着

 希少性 1

 作り  5

 利便性 5

 芸術価値1

 査定額 金貨2枚銀貨4枚


 雨具 1着

 希少性 2

 作り  4

 利便性 4

 芸術価値1

 査定額 金貨1枚銀貨8枚


 不明 1着

 希少性 0

 作り  0

 利便性 0

 芸術価値0

 査定額 買い取り不能


 ロックロズワード商会」


 あらあら、今回は被服品で行ってみたが結果は芳しくなかった。

 上からMA-1モドキのアウター、レインスーツ、USED風のジーンズであった。


 実は前回の物は買ったものではなく私のお古だ。

 だからUSED風ジーンズのUSED品となっていたりする。

 しかし、買った時は結構したんだけどなぁ、まぁこっちの古着屋に売るよりは遥かに高く売れたので良しとする。


 それにしても、私のゲロに引かれて魔物が集まってきたとか…

 なんだそれ、あいつらゲロ臭が好きなのか? 絶対あいつらも臭いに違いないし碌でもない奴らに違いない。

 それと共に野上さんいい人過ぎるだろう、上空からゲロ撒き散らされてるのに、そちらからお詫びまでしていただくなど。

 私は申し訳ない気持ちで一杯になった。

 今度特売で安かった使い捨てカイロを一冬分送ります、あと何か和風のお菓子も差し入れますので許して下さい。

 でも、あれが私のゲロだった事は隠しておこう。

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