第4話 アルコールは脳細胞を破壊し…

「ただいまぁ、誰も居ませんね。わかってますよぅ~」


 ちょっと今日は飲み過ぎた。

 それもまぁ後輩の送別会だった訳で、会費分位は飲み食いしようとした結果がこれなわけですよ。

 あっ、気分悪い…

 もう今日は寝ていいかな?

 

 悪い酒だったって事は重々承知していますとも、でもねシラフでは居たくない時ってあるじゃないですか。

 例えば後輩が先に結婚して寿退社するのに、私にはいい人は居ないの? とか聞かれておとなしくいつもみたいにはできないわけですよ。

 そこは酒の力でも借りて、「アアン? ワレ何言っとんじゃ」位は言いたくなるのでございます。

 あっ、気分悪い、もう寝ていいかな?


 しかし仕事熱心な私は、畳を捲ると釣り竿を手に取り、いつもの様に穴にダンボール箱を下ろしていくるであった、偉いっ。

 いつもの様にリールから糸を繰り出し、地面に着いたら少し巻き上げて待つ。


 あっ、駄目だ気分悪い。

 私の中から湧き上がる衝動は、何ものにも止めることは出来ず自由を求め出口を求め溢れだす。

 それはパッション! とかだったら良かったんだけど実際はゲロ。

 酔って居た私は依りにも酔って、異世界に続く穴に向かって口から噴射した。


 あちゃあ、これタイミングによっては大惨事もあり得る。

 まだ来ていないと良いのだけど野上さん。

 

 するとクンクンと糸を引く合図に合わせて竿につけた鈴がリンリンと鳴る。

 私は恐る恐るリールを巻き上げ、糸の先に付けられたタッパーを回収した。


「先日の商品、ブッシュクラフトナイフのお値段ですが。

 こちらの世界では、刃物の携帯は当たり前となっており珍しい物ではありません。

 また、数が多いため価格も低い水準で安定しており、あまり高値では売れませんでした。

 いつも通り鑑定書を同封致します。


 鑑定書

 ダガー 1振り

 希少性 0

 作り  4

 利便性 2

 芸術価値3

 査定額 金貨1枚 


 ロックロズワード商会」


 そして、輸送代と手間賃として半分もしくは最低金貨1枚を約束しているので、私の取り分は0となった。

 そうか、みんな持ってるよなぁ、向こうで生活する人はほぼコッチのキャンパー位のレベルがあるんだわな。

 むしろそんなだから質の高いナイフが評価されるかと思ったけど、評価されてもこの辺りなんだな。

 前回のランタンより高い買い物だったんだけどなぁ。


 ちなみに金貨と言っても、金の含有率は低く薄くて小さなためにこちらでの価値は1000円から1500円程度で、銀貨も100円程度、銅貨に至ってはほぼ無価値なのだった。

 また、金貨もある程度貯まらないと換金出来ないため、結構私の財布は軽くなってきている。

 なんだか酔も冷めてきたようだ、私は畳を元に戻すと暖房設定温度を下げ布団を敷いた。

 敷いたばかりの布団は冷たくて、足が冷える。

 少しだけ眠気が遠のいて行った。

 そういえばー、向こうの人って暖房どうしているんだろう…

 私は、ムクリと起き上がるとパソコンの電源を入れた。

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