第7話 空振り
さて、先日のカイロの製造工程をレポートにしてタッパーに詰める。
今日は下ろす荷物が思いつかなかったので、100円ショップで買い込んだ使い捨てライターを、30個ばかし箱に入れてタッパーと共に下ろす。
正直な話、向こうの世界でカイロを作るのは無理だと思う。
それでも作れるならそれはそれでいいだろう、材料は活性炭と土と塩と水と鉄粉。
そして多分手にはいらないのは、鉄粉。
酸化していない鉄粉は、まぁ作るのが難しいだろう。
砂鉄は反応済みだし、鉄分は割りと低くて90%以上が不純物なので使えない。
結局ネットで調べても、生半可な技術じゃ作れないってのが解った。
何にもしないで2割は美味しかったのだけど、そうは問屋がおろさないって事ね。
でも暫くは使い捨てライターで儲けが出そう。
100円で買ったライターが、約900円になるボロい商売。
ちなみに向こうでは、成人一人が最低限度の生活で一ヶ月暮らすのに金貨3枚必要で、普通に暮らすなら4枚か5枚位が相場となる。
そんな金貨でさえも金の含有率は30%程度で、コッチでは一枚1000円程度にしかならない、そもそも物価が違いすぎるのだ。
いっそ向こうの商品をこっちで売ることも考えたが、私が何とも知れぬものを週末ごとに売り歩くのは嫌だったので却下だ。
おっ! 竿に微かな手応え、今結び目を解いて回収しているのかな?
しかし、待てど暮せど引いてくれの合図がない。
何だか嫌な予感がしてリールを巻き上げると、糸が切れて荷物どころか手紙とお金を入れるためのタッパーさえ無くなっている。
ああっ、魔物かなにかに紐を切られたかもしれない。
野上さんが無事なら良いのだけどと思いつつ、新しくタッパーを紐に括る。
もしかして、カイロ製造の工程レポートと手紙も一から書き直しなのか…
面倒なことこの上ないなぁ。
レポートだけでも手書きじゃなく、パソコンで制作しておけば良かったと思った。
今日のアメィゾンでのお買い物。
自分用のプリンター、プリンター用紙、USBケーブル。
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