第二十六戦 VS場を凍らせる

先手せんて必勝ひっしょう! 〝ありがとウサギ〟!」

「しまった……靴が……!」


 パキパキと、周囲一帯の地面がこおりついていく。避けることのできない冷気に、俺の靴が地面もろとも一瞬で氷漬けにされた。


「ぽっぽっぽ! 『寒いギャグで場を凍らせる能力』だ! どうだ、そこから一歩も動けないだろう!」


 仕方なく、靴を脱いで氷上ひょうじょうに立つ。氷の非情な冷たさが靴下越しに足をつらぬいた。


「もう靴はない! これで終わりだ! 〝さよな――」


「さよなライオン」


「なっ……!」


 油断なく、相手の口の動きを観察する。


「お前よりも先に、寒いギャグを言ってしまえばいい。そうすれば、お前の能力は封じられる」

「くそっ……! 〝こんにち〟」

「こんにちワン」

「〝おは〟」

「おはよウナギ」


「ぁああああああああああああッ!!」


 怒り狂った相手は俺に向かって走りだすと、地面の氷で足を滑らせて、頭をぶつけて気絶した。


第二十六戦 勝利

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