第十三戦 VS気配

「そこに誰かおるのか」

「……!」


 死角しかくから様子をうかがっていたはず。そのぼうっと突っ立っていた老人はこちらを振り向いて言った。背中を丸めており、手に持った杖で身体からだを支えている。


「わしの能力は『気配けはいを感じる能力』……といっても、それだけじゃ。この老体で勝ち残るなんて不可能じゃからな。こうして、誰かがわしの元に訪れてくれるのを待っておったのじゃ」

「何のために?」

「わしを倒せば、勝利特典がもらえるのじゃろう?」

「……杖をついた老人なんて殴れねえよ」

「ほっほっほ。殴る必要はあるまい。こうして対峙たいじしたあと、降参を宣言すればよいのじゃからな。というわけで、降参。この先も頑張りたまえよ、若人わこうど


 地面に現れた魔法陣と共に老人が消え去ると、車が一台と紙が現れた。


『ボーナスステージだよ。制限時間内に全壊ぜんかいさせたら、新しい能力をすぐにゲットだ!』

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラー!!」


 無理だった。


第十三戦 勝利

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