第二十二戦 VSハーレム2
まっすぐ森を抜ける。綺麗に切りそろえられた芝生の決闘場。
気配を感じとっていたようで、剣道少女は木刀を構えて
「
「え? なんだって?」
「逃げ出してまた戻ってきたということは、私を倒せる
「え? なんだって?」
油断なく構える剣道少女に対し、俺は走りだすと、正面から距離を詰めていく。
「さあ、貴様の能力を見せてみろっ!」
わずか一瞬の出来事。頭へと
両の手でしっかりと、挟まれていたからだ。
「
「え? なんだって?」
両手で挟んだ木刀を奪い取ろうと思いきり持ち上げると、そうはさせるかと剣道少女が木刀の
そうして両腕が持ち上がった隙を見逃さず、素早く腹めがけて前蹴りを叩き込んだ。
「ぐっ……!」
さしもの武道家か。とっさに
俺は木刀を捨てると、すかさず距離を詰める。拳をふりかぶると一切の
「ぶひゃっっっ!?」
剣道少女の鼻がひしゃげ、整っていた顔が崩れ去った。あまりの衝撃に
その
「全力で……女の子の顔を殴っただって……? まさか、それが能力なのか……?」
「声が聞こえるようになったな。聞こえなくなるのは剣道少女の能力だったか」
本来なら、俺は敵に能力をペラペラとしゃべったりしない。だが新しい能力を手に入れて、剣道少女を倒して、テンションの上がっていた俺はその質問に答えた。
「そうだ。これが俺の二つ目の能力。『男女を平等に殴れる能力』だ」
「君は、なんて非情な能力を手に入れたんだッ! それが男のすることかいッ!?」
「今の俺には、何とも感じないな。男も女も関係ねえ。全力でぶん殴れる」
「くっ……! そもそも、君の一つ目の能力は白刃取りができる能力ではないんだよね? じゃあどうして白刃取りができたんだい?」
そこは俺も疑問に思っていたところだ。眉をひそめて答えた。
「左腕を犠牲にして接近戦に持ち込むつもりだったが……なぜか、身体が勝手に動いて白刃取りをやっていたんだ。成功したから、そのまま攻撃に
「なんだそれは……! ふざけているのかい!?」
「ご、ごめんなさいぃ~~っ! わわ私の能力のせいなんですぅ~~っ!」
◇◇◇
「……え?」
メンマは後ろをそっと振り返った。残りの四人の女の子のうち、初めに仲間になったみちるが瞳を涙でうるませながら
「い、いまさら言ってももう手遅れだと思います……でも言いますね、わ、私の能力は……」
びくびくと
「『仲間になった
「…………?」
しばらく森が
「「「え――ぇえええええええええっ!?」」」
みちるの周りを三人の女の子たちが取り囲む。
「なにそのデメリット能力!? 信じられないっ!」
「追いだしましょうよ、こんな役立たず!」
「そうよそうよ! つまり私もかませ犬になってるってことでしょ!? 意味わかんない! よくそんな能力でメンマの仲間になろうなんて思えたわね!」
「『料理が
「『頭をぶつけ合った二人の精神を入れ
「『デッサンやパースが狂って見える能力』で地獄を見せてやるわ!
「ご、ごめんなさぁい、ゆるしてください、ゆるしてくださぁい……」
みちるは涙を流して謝り続けているが、他の女の子たちからの非難はやみそうにない。それを見かねたメンマは、優しく語りかけた。
「構わないよ。そう言ったじゃないか」
「メンマさん……?」
「はぁ? どういうつもり?」
「メンマは、こんな女をかばうって言うの!?」
「そうさ。彼女を仲間から外すくらいなら、僕は降参を選ぶよ。女の子を泣かせてまで能力を手に入れたいほど、僕は落ちぶれちゃいないさ」
不満そうな女の子たちを見回すと、メンマは謝罪と感謝の気持ちを伝えた。
「ごめんね、君たち。そしてありがとう。僕はここで降参するよ」
「なによ。私はあんたを勝ち残らせるために仲間になったんだから、あんたが降参したら意味ないじゃない! ……だから、私も降参するわ!」
「私も!」
「さっきは、強く
「はいっ、はいっ……! ありがとうございますっ、メンマさん、みんなっ!」
ぽろぽろと泣きながらも、みちるは
◇◇◇
降参した全員がUFOにアブダクションされるのを見届けると、俺は
「……はあ。長かった」
なんなんだあいつら。主人公組か。
「ま、なんにせよ。俺の勝ちだ」
第二十二戦 勝利
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