終戦
バトルロワイアル会場を見渡せる学校の屋上に、銀髪の少女と俺がいる。はっきりと見渡せるようにと、もう二人だけしかいないため、全てのフェンスは取り払われている。
『優勝おめでとう、ナナシくん』
「ああ。ありがとよ」
朝日に照らされた会場を眺めつつ、しんみりとした気持ちで
「……楽しい時間は、もう終わりか」
『何を言っているんだい? 楽しい時間は、これから始まるというのに。バトルロワイアルの全ての異能を手にした君は、現実世界で俺TUEEEを存分に楽しめるじゃないか』
「現実は、俺には合わないんだよ」
影を落とした表情でうつむくと、
能力を手に入れたところで、やりたいことなんて何もない。
『だったら、異世界に行ってみないかい?』
「異世界だと?」
『主人公くんを倒して
「……異世界は、どんな所なんだ?」
『異世界では
俺は顔を上げて銀髪の少女を見つめた。力強い笑みで、宣言した。
「俺が選ぶのは――〝よくある普通の異世界転移〟だ」
『ふふ。
銀髪を揺らしてそう微笑むと、右手を差し伸べてくる。同じように右手を差し出すと、その白い小さな手を握った。
少女と別れを告げると、俺は新たな世界に向けて旅立っていった。
よくある普通の異能力バトルロワイアル・完
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