第四戦 VS憤怒
森の奥から冷たい気配がした。
そう、
能力も確認せずに逃げるなんて、つまらないことはできない。
バトルロワイアル。三戦味わってみた感想は、言い表せないほどの楽しいという感情だった。ここまで感動するのは、初めて炭酸飲料を飲んだ時以来だ。
勝つのはついで。まずは楽しむこと。それでいい。
草木をかき分けて見つけたのは、背の低い子供だった。このバトルロワイアルには、小学生も交じっているのか?
俺と
「あー? おいてめー、何飲んでやがる」
「コーラだ」
「どこで手に入れた?」
「勝利特典だ。コーラ以外で良ければまだあるぞ。向こうに
「まじか。おれ
「いいぞ。ただし、ジュースを飲んだら降参しろよ。小学生がバトルロワイアルに参加するなんて危険すぎる」
「――あ?」
ぞっ、と。さっき森で感じた
まずい。おそらく
「おれは高校生だ……ああ
子供がそばにある木を
「おれの能力は……『怒りでパワーアップする能力』だからよぉ……!」
子供は腕を振るった。根っこから引き抜かれた木が地面に叩きつけられる。その衝撃で、大量の
逃げちゃだめだ。逃げちゃだめだ。逃げちゃだめだ。いや、能力確認したし逃げよう。俺は背中を見せ、土煙に
「逃げてんじゃねぇぞ
(パワーもスピードも向こうの方が上だが……キレている分、狙いがおおざっぱだ。といっても、飛んでくる木や風圧をうまくかわさないと転んだ後にとどめを刺される。圧倒的にこちらが不利だ。勝てる要素が見つからない。このままじゃジリ
『怒りでパワーアップする能力』。なら、怒りを
俺はある地点に向かって進路を修正した。
しばらく攻撃をかわしながら走り続けていると、目当てのものが見えてくる。迷わず、俺は頭から飛び込んでいった。
◇◇◇
「なっ……川だと!?」
子供が
「……泳げねえことはねえが、こんな深夜の冷たい水の中に入ったら、頭が冷えちまうじゃねーか。……考えたな、クソが」
だが、それなら
そう思って、走り出そうとした瞬間、何かがつま先に当たった。
「あん? ……缶ジュース?」
それは、炭酸飲料の缶だった。表記を見ると、ドクターペッパーと書かれている。
「逃げる途中で拾ったのか……これもおれの怒りを
土まみれだったため、川で
当初の目的通りに、やっと喉を
ぶっしゅぁああああああ!! という凄まじい効果音と共に内容物がほとばしり、子供の髪と服にべとべとした甘い液体が降りかかった。
「――よし、ぶっ殺す!!!!!!」
子供は今までで最高の速力で川沿いを駆けていったが、辿り着いた先は海で、目標を完全に見失ってしまった。
第四戦 引き分け
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