Track04.ダブルトラブル



 きな臭い。今しがた取引を終えた男を思い出し、シュティードはそう直感する。請負人の経験則はいやに殺気立っていた。

 前金で一〇〇万ネーヴル、成功報酬で三〇〇万ネーヴル。回収対象に欠損が見られた場合、成功報酬は四分の一に減額。それが今回の仕事の概略だ。

 世は正にこともなし、全ては順調に終わった。気がかりなのは〝電子マネー〟だ。掃き溜めのスカヴェンジャーどもは金と酒の香りに目がないものだから、追い剥ぎされるリスクを避けたと考えれば利口な手ではある。

 だがシュティードに言わせればそれこそハイリスクだ。市街に関する犯罪は市街の法律で裁かれる。こればかりは非市街在住者だろうが関係ない。闇口座という代物を経由した以上、ZACTザクトに検閲されれば問答無用でお縄になるのだから。

 電子マネーは市街でしか効力を発揮しないただのデータだ。換金のツテがあるということは、その換金業者も市街在住者──つまり現金を電子マネーに変えても利益が出る人間でなければならない。こちらも同じく真っ黒だ。闇口座の件と併せ、摘発されるリスクを二重に掻い潜っていることになる。

 何故だ? シュティードは脳味噌を回した。何故そこまで電子マネーにこだわる? 自分は旧時代の遺物ではないとでも言いたいのだろうか?

 絶対に摘発されないという自信の表れか。だとすれば根拠はなんだ? 奴は何を根拠にそこまでのリスクを負っている? それとも根拠なきただの慢心か? にしては手口が周到すぎる。

 そうでなければ──

「……」

 シュティードは考えるのをやめて元いた席に腰を落とす。ツキは引き寄せるものなのだ。悪い方向に頭を回せば、それは実際に悪い出来事を連れてくることになる。それも連続して。始まりがどんな小さな厄介ごとだろうが関係ない。倒れてしまえばドミノはドミノだ。もう誰にも止めることはできないのだ。

 ちょうど粒子管絡みのちっぽけないざこざが、この小生意気なクソガキとの邂逅を引き連れてきたように。

「お仕事は終わったの?」

 問いかけてくるナオン。なんともクソったれなことにコース料理はまだ食前酒も届いていない。潰れちまえ、こんな店……シュティードは狼狽しながら念じた。

 見ろ、これがドミノ倒しの結末だ。シュティードが粒子管を追い、そのシュティードを追ったどこかの馬鹿がロケットランチャーを打ち込み、そして打ち込まれたザイールがシュティードを追ったせいでこのクソガキと出会う羽目になったのだ。

 人生最低の一日だ。シュティードは苛立ち気味に頭を掻いた。

「お前に関係あるか?」

「関係ないよ。ここまでは。問題はいつだって〝これから〟でしょ」

 シュティードが舌打ちする。自身の台詞の反芻はんすうだ。なんとも記憶力の良い奴らしい。しかもそれを嫌味に使うあたり、やはり掃き溜め育ちなりの素質がある。

「いいじゃん。答えてよ」

 コースはまだか。まだなのか。クソが。クソ能無しのウェイターめ、後で意地でもバーボンを出させてやる……内心でそう毒づき、シュティードは小生意気なクソガキの駄々に付き合う腹づもりを決めた。

「……そうだよ。今ので仕事は終わり。後は家に帰るだけだ」

「大人って暇なんだね」

「殺すぞクソガキ」

「だってあとは帰って寝るだけなんでしょ? そうなんでしょ? でしょ?」

 やはり〝質問〟が好物らしい。ナオンは能天気に首を傾げる。

「うるせえガキだな」

「いいじゃん、答えてよ」

「……そうだ。ほかの仲間と酒飲んで、仕事の話を整理して、そんで寝るだけだ」

「それ楽しいの? 生きがい感じる?」

「ほんとにうるせえガキだなあ!」

「僕知ってる。それってニートって言うんでしょ」

「俺はまだ働いてる方だ。一人はヘビースモーカーで闇サイト相手に脱衣ポーカー。もう一人は保安官の癖して賭場に入り浸り。ああいうのを本物のろくでなしっつーんだよ」

 なるほどとナオンは頷いた。本物のろくでなしが言うと妙に説得力がある。

「どんな人なの」

「どんなもクソもあるか。クズだクズ。こんな街にいる奴は例外なくクズだ」

「よく知ってる」

「てめえ何が言いてえんだクソガキ」

 煽るように目を背けてナオンがストローを噛む。傍若無人に傲岸不遜、ルールも道理も待ったなし──クズという言葉を人の形に無理矢理固めたような男が、一体どの面を提げて他人をクズと罵る事ができようものか。

「そんなクズなら──……」

 お似合いじゃん、と言いかけた口をつぐんでナオンは代わりの言葉を探した。このクズの横に並び立つほどのクズが想像できなかったからだ。

「……関わらない方がいいじゃん」

「お人よしなんだよ、俺は。見ず知らずのクソガキにコース料理を奢るぐらいにはな」

 当てつけのように言う様からは微塵も大人気おとなげが感じられない。自嘲する為に無理矢理作り上げたような笑顔を遮り、先刻のウェイターが料理を運んできた。やっとだ。遅い。どっちにしろこんな店は潰れるべきだ。シュティードはそう思う。

「失礼します。こちら食前酒の」さえぎってシュティードが中身を飲み干す。「……」

「前置きはいい」

「あんたコース料理なめてんですか?」

「コース料理が俺をなめてる」

「……」

「時間の無駄だ。全部まとめて持って来い」

「このクソったれ……」

「待て待て」

 ウェイターを制し、シュティードが紙切れを握らせる。

「チップだ。とっとけ」

「……」ウェイターが手元を見る。紙幣ではない。レシートだった。中身を覗くやいなや彼の表情が曇る。「何が言いたい?」

だ。あるんだろ?」

「しつこいな。保安官を呼ぶぞ」

「知り合いに一人いる。電話するか?」

 廃品電話を取り出し、ジーナへのコールに手をかけるシュティード。

「マフィアの取引を幇助ほうじょしてるとチクるぞ。黙ってターキーを出せ」

「……あんたがそのマフィアだろうが」

 シュティードの勝ちだ。ウェイターはレシートを机に叩きつけ、またもや呆れ気味にテーブルを去る。よく心労で倒れないものだとナオンは感心すら覚えた。

「よくないよ、こんな嫌がらせ。なにか恨みでもあるの?」

「見ろ」レジスター奥の棚を指してシュティードは続けた。「バーボンがある」

「……だから?」

「上客にしか出さねえのさ。足元見てやがんだよ」

 シュティードはレシートを広げた。ワイルドターキーを二本購入した際の物だ。これで暗に要求したらしい。

 酒類の中でもバーボンは特に高価なもので、名もなき質の悪い密造酒──ちょうど摘発された酒場〝マーベル〟で売られていたようなものだ──を除けば、一本あたり四万ネーヴルが最低相場になる。

 ワイルドターキーはその中でも特に高価だ。しかもシュティードが購入したものはイザクト事変当時のヴィンテージなものだから、一本あたりの価格が二〇〇万ネーヴル……総計しめて四〇〇万ネーヴルに上る。掃き溜めらしいゼロの数だ。

 馬鹿な話だとナオンは思った。いくらヴィンテージだからといって、たかだか酒ごときに四〇〇万も詰む奴があるものか。そもそもその金はどこから出てくるのか。

 こだわりの一つなのだろうか。だとしたら、相当に難儀な話ではある。

「わっかんないなぁ……」

「なにがだ?」

「べつにぃ……」

 ほどなくして別のウェイターが料理を運んできた。シュティードの命令通り、秩序あるコース料理を全てまとめてだ。マリネにパスタ、メインの肉塊、付け合せの温野菜に紅色のジェラート……最後にワイルドターキー八年を瓶ごと乱暴に起き、壮年のウェイターはシュティードを睨みつけた。

「お客さん、金持ってんだろうな?」

「てめえこそ氷はどうした?」

 ウェイターはむっとしてアイスペールを叩きつけた。冷えた氷の破片が飛ぶ。

「ほらよ」

「こんなにいるわけねえだろ馬鹿、常識で物を考えろ」

「いい言葉だ。注文の際もそいつを心がけてくれ」

「次があればな」

 シュティードはアーク・ロイヤルの火を消した。


 彼が愛する酒と煙草はどちらも香りの強いものだ。どちらも聖母の唇を思わせる甘さで、主張が強く、そしてそれゆえ彼は合わせることを好まない。

 酒の時は酒を、煙草の時は煙草を──それは彼自身のこだわりでもあったし、この新・禁酒法時代においてなお嗜好品を作り続ける者達への敬意という意味でも──そう決めていた。煙を手で払い、しばしパイプ・フレーバーの残り香が消えるのを待つ。

「……?」

 ナオンが首を傾げる。あれほど持って来いと責めたてていたのに、何故この男はすぐに飲まないのだろう。少年にはまるで分からなかった。

 やがてシュティードはターキーの栓を抜く。ガソリンに似た粘っこい輝きを放つ焦げ茶色の液体がグラスに注がれた。濁っているわけではないのにやけにゆったりとして見える。グラスを揺らして水面が波打てば打つほどに淑女の柔肌を想起させるのだ。

 続いて鼻を近づける。キャラメルのように甘く、それでいて消毒液に似たきつい臭いが鼻腔の奥を突いて喉へ。ライ麦と大麦麦芽ばくが、それと少量のコーンからなるエステリーな香りだ。七面鳥の名が示す通り雄雄しさを、気高さすら感じさせる。そうして一頻ひとしきり香りに浸った後、シュティードはグラスを口元へ運んだ。

 一度目はストレートで。そうと決めていた。

 ゆっくりと口へ流し込まれる燃料。強烈な度数が喉を焼き、導火線となって食道にわだちを作ってゆく。そうして腸の奥底で燃え上がるのだ。いやに熱い。唇と舌先に僅かに刺激が残る。

 二度目はロックだ。ロールがつく方ではない。氷を意味するロックだ。シュティードはロックアイスを二つ、手掴みで入れる。ちょうど氷が半分だけ顔を出した。

 氷にターキーをなじませるようにしてグラスを回し、シュティードはまたグラスに口付ける。今度は舌の上で少し遊ばせてだ。強烈な香りが鼻を抜けてゆく。先刻よりも強くアルコールを感じた。この気高い臭いがそうさせる。喉元ではまだ熱が余韻を引いていた。

「……かっこつけちゃって。馬鹿みたい」

 ナオンがふてくされ気味に口を開く。シュティードが思わず見返した。

「かっこつけで酒を飲む馬鹿がいるか?」

「それ、バーボンって言うんでしょ。めちゃめちゃ強い奴。そんなの飲んだっておいしくないよ。やせ我慢してるに決まってる。それがかっこいいと思ってんでしょ」

「そう感じるのは」シュティードは続けた。「お前の中にそういう価値観があるからだ」

 反論しようとしてナオンは言葉に詰まる。図星だった。憧れがないわけではない。

「……っていうか、ムカつくんだよ」

「なにがだ」

「雰囲気がムカつく。ルールを知ってる人しか飲んじゃいけないみたいで」

「……ルールもなにもそもそもお前は未成年だろ」

「市街じゃないから合法だもん!」

「じゃあ飲むか? 酒代だったらいくらでも支払ってやる」

「そういう話してんじゃなくて!」

 テーブルを叩くナオン。シュティードは苦笑する。

「よく聞けクソガキ。俺は節操なく種類もかまわず酒を飲むアホが嫌いだ。だが他人の酒の飲み方にいちいち文句をつける野郎はもっと嫌いだ。嗜好品の好みごときで他人を値踏みするアホはこの世に存在するアホの中でも一番頭の悪いアホだ」

 この世に存在するアホの中でも一番頭の悪そうなシュティードは続ける。

「飲む理由なんかなんでも構わん。好きなものを好きなように飲むんだ。そうして習慣になる。なっちまえば手を出した理由なんざ関係ない。なんだろうが説得力になる」

「……よくわかんない」

「勿体ないと言ってるんだ。気にする側にしろ、気にされる側にしろ」

 シュティードにしては珍しく真面目な受け答えだった。酒が絡むと普段よりは大人しくなるらしい。ナオンはいまいち理解するに至らないが、暴言を吐かれるよりはマシなので話半分に聞いておく。

「好きなものや好きなことを好きなように楽しんでる奴が一番楽しいに決まってる」

「……それは……そうだけど……」

「まあ……」首を鳴らすシュティード。「そのぶん責任もつきまとうがな……」

「……飲みすぎるってこと?」

「……あぁ、もういい。なんでもねえ。そういうことにしとけ」

 おしまいとばかりにひらひらと手を振るシュティード。さっさとフォークを手に取るなり、彼は芸術的に盛り付けられたパスタにその先端を突き刺し、馬鹿め食うのに芸術もクソもあったものか──そう言いたげに絡め取って口へと放り込んだ。先刻と打って変わってこだわりの〝こ〟の字も見受けられない。

 三ツ星持ちのシェフが作ったコースだろうが、マーケットで買ったバーガーだろうが、彼にとって食事などはただのおまけだった。あってもなくても構わない。酒さえあればそれでいいのだ。

「……あのさ、頼んどいてなんだけど」ナオンは問う。「これ払えるの?」

「気にすんな。どうせ払おうが払うまいが一緒だ」

「まさか食い逃げ──もがっ」

 叫びかけたナオンの口にシュティードが無理矢理バゲットを詰め込む。ナオンは眉間に皺を寄せながら、しかたなしにそれを頬張り始めた。

「神様いわく、支払いするは我に在り、だ」

 クズだ。擁護のしようがない。やはりこんな男がロックンローラーでは駄目だ。

 それはそれとしてナオンは前菜に手をつけた。頼んでしまったものはしょうがない。支払い責任はこの男にあるのだ。

「……ねぇ、その足元のケースって……」

 影がナオンの台詞を遮る。見上げた先、シュティードの背後に巨漢の男が立っていた。掃き溜めに似つかわしくない純白のスーツを纏っている。

 ZACTけいさつだ。

「おい、お前」

 やけに固い感触の手が恋人気分でシュティードの肩を叩く。到底お友達にはなれそうにもない、低い、男の声色だ。そして実際に結婚適齢期を過ぎたいい歳の男だった。

 ──きたか、さよならだクソガキ……シュティードは心中で別れを告げた。哀れにも警察に追われた少年は、コースのメインを平らげることなくここでお縄となる宿命なのだ。これで天井を弁償せずに済む。別れのタイミングにしては絶妙だった。

 うんざりしつつ振り向くシュティード。男が何事かを言いかける。シュティードが先に右手をかざして台詞を遮った。

「おっと待て、狙いは分かってる。このガキだろ? 生憎だが俺は途中で乗せてもらっただけだ。こいつとは関係ない。運転手と客の関係。こいつが運ぶ、俺が金を払う。それ以上でも以下でもない。そういうことだ分かったか。分かったらとっととこいつを連れてけ。じゃあなクソガキ、短い間だったがいい旅だったぜ。お前に幸運のあらんことを!」

「お前に逮捕状が出ている」

「なるほどね」

 出鼻を挫かれたようだった。男は淡々と続ける。

「大人しく我々と来い」

 白いスーツに青いネクタイ。おまけに低俗極まったレモンイエローのサングラス。腰元には暴徒鎮圧用に出力が調整された粒子銃ときた。ZACTの職員。市街の犬だ。

 シュティードは瞬時に辺りを見渡す。見える限りでは六人。どいつもこいつも同じ格好だ。囚人じみた特徴のなさに、たまらず笑いがこみ上げてきた。

「まぁ落ち着けよ。今日は国民の休日だろ? コースでも頼んで大人しく休んでな。ここの魚は絶品だぜ。そうだろ、ウェイター」

 話を振られたウェイターは絶句する。そもそもシュティードが頼んだのは肉だ。

「気の毒だが」職員は続ける。「我々は公務員だ。国民の休日など関係ない」

「あぁ、そりゃ本当に気の毒だな。てめえ公務員の癖してアポのとり方も知らねえのか?」

「噂通りだな、シュティード=Jジェイ=アーノンクール。八億ネーヴルの賞金首」

 ナオンの手からフォークが滑り落ちる。他のテーブルの客も異様なその光景に目を釘付けにされていた。悲惨な目にあったウェイターもだ。

 その名を耳にした途端、誰もが石膏よろしく固まった。

「……え、ちょっと待って」

 ナオンは呟く。追い付いた脳味噌。聞き覚えのあるフレーズ。

 はて、今この白スーツの男は、眼前のろくでなしのことをなんと呼んだか──

「──……八億ネーヴル……?」

 だらり。ナオンの頬を冷や汗が伝った。ちょうどシュティードのグラスの表面を水滴が伝ったのと同じくして。

 請負人で八億と言えばこの掃き溜めにただ一人きりだ。ありとあらゆる破壊の限りを尽くし、ルールも道理も待ったなし──台風のように現れては全てを滅茶苦茶にして去って行く、馬鹿騒ぎをやらせればピカイチのトンデモ集団──マキネシアに根を張る野良猫ギャング、〝ラズル・ダズル〟の大番頭。積もりに積もった悪行の果て、その首にかかった賞金額こそは前代未聞の八億ネーヴル。ブロック一つ丸ごと買えるほどの金額だ。

 ナオンは悟った。知らなきゃ良かったとバゲットを必死に食んだ。しかし知ってしまったものはしょうがない。受け入れるしかないのだ。スクラップフィールドの請負人という超弩級の厄介事の正体が、他でもない目の前の男だということを。

 ああ、こいつは──とんでもない厄介を拾ってしまったらしい。

 硬直した衆目を他所に、シュティードは態度を変える様子もなくグラスを口に運んだ。

「まあ待てよ。余裕のない男はモテないぜ。逮捕状とは言うが証拠はあんだろうな?」

「俺が生き証人さぁ」

 軽薄な声が響く。声だけでそのひょうきんな面が目に浮かぶようだった。ウィンチだ。シュティードが渡した粒子管をこれ見よがしに見せ付けている。

 らしい。シュティードは瞬時に悟る。気付けなかった自分の愚かさを一瞬だけ叱咤し、すぐさま意識を切り替えた。

 ウィンチはしたり顔でにやにやと笑い、胸元のカフスボタンを見せ付ける。

「国家電脳戦略特区都市所属、ZACTザクト第三分社嗜好品取締執行官……ウィンチだ。ミスター・ウィンチと呼んでくれ。言ったろ、次はない。ま、色々と追求するところはあるが……とりあえず、違法粒子管所持の疑いってことで」

 シュティードが苦笑した。

「……はぁん。道理で電子マネーなワケだぜ。絵に描いたようなゲス野郎だ」

 ウィンチは肩をすくめた。お前が言うかとでも言いたげに。

「吹くなよ請負人。市街にもお前の悪名は轟いてるぜ。新・禁酒法違反は言わずもがな、公務執行妨害、信書開封、公文書偽造、住居不法侵入、スピード違反、窃盗、暴行、脅迫、殺人……挙句に国家反逆罪。弁護士も困り顔だろうぜぇ」

 ナオンの頬が引きつった。なんだそれは。犯罪のバーゲンセールか。

「おいおい。そのほとんどはスクラップフィールドでやったんだ。てめえらZACTの管轄は市街だろ。掃き溜めには保安官がいる」

賄賂わいろでずぶずぶの保安官がか? お前のJはジョークのJらしいな」

 シュティードは言い返さなかった。保安官ジーナが賄賂でずぶずぶなのは事実だからだ。なんならラズル・ダズルの構成員としての報酬よりも、賄賂が主な資金源になっていると言っても過言ではない。

 ウィンチは粒子管をこれ見よがしに指で叩く。

「言ってることは合ってるぜぇ、掃き溜めはZACTの管轄外だ。だからさ。粒子管所持で逮捕するんだろ? 粒子取締法だけは掃き溜めにも効力が及ぶ。知らなかったじゃ通らねえ」

「……」

「それに、今日からは話が変わるのさぁ」

「あぁ?」

 ウィンチがコース料理のメインを口に運び、粗雑に筋繊維を噛み千切る。注文通りいい塩梅のウェルダンだったが、機械アンドロイドである彼が食べても意味はない。要するにそれは、得体が知れない人間を演出するためのパフォーマンスだった。

「新・禁酒法の指定領域が拡大された。今日からは、このスクラップフィールドも対象になる。もちろんこの店も後で摘発するぜぇ、ワインを置いてるからな」

 シュティードが気色ばむ。笑い事では済まされない。

「……掃き溜めに新・禁酒法だと?」

「マジもマジだぜ、大マジよ。酒場も賭場も煙草屋も娼館しょうかんも、ぜーんぶ摘発さ。掃き溜めは市街と同じくクリーンな環境になるってワケ」

「ZACTの決定か? そんな話はニュースで流れちゃいねえぜ」

「このミスター・ウィンチ様の決定だ。俺が決めたんだよ」

「お前が? たかり金で飯を食う女の腐ったような野郎がか?」シュティードは失笑した。「脅かしやがって。どうしようもねえアホだ」

 ウィンチは笑顔を崩さない。どころかナプキンで口元のソースを拭い取る始末だった。

「禁酒法から何も学んじゃいねえようだな、捜査官。てめえらがあんな間違った法律を作らなきゃ、スクラップフィールドはここまでひでえ場所にはならなかった」

「捜査官じゃねえ。ウィンチだ。正しいかなんてどうでもいい。これは高貴な実験なんだ。間違ってても構わねえのさ。だからこんな島国でやってんだろ? 頭使えよ賞金首」

「……」

「とにもかくにも来てもらうぜ。でなきゃ八億の脳味噌をここにぶちまけることになる。そっちのボクちゃんも一緒にだ」

「はぁ!?」ナオンが仰天した。「なんで僕まで!」

「事情聴取するだけさぁ。大人しくついてくりゃあママに怒られる前には帰れる。それとも逃走幇助でしょっぴいてやろうか? 留置所じゃママのおっぱいは吸えねえぜぇ」

 まぁ、とズボンのジッパーを上げ下げするウィンチ。

「キャンディーはしゃぶれるかもしれねえけどなぁ」

「…………最ッ悪」

 シュティードは再び脳味噌を──ウィンチいわく八億の脳味噌をフル回転させた。

 状況は芳しくない。交戦なしに切り抜けるのは不可能だ。ざっと見積もって強者は四人、伏兵を仮定すると最大で八人。どうしようもないことに、今日に限ってシュティードはローダーを持ち合わせていなかった。

 ガキの成り行きは二の次だ。一度従うフリをするか。店外にさえ出てしまえば走って逃げ切れるやもしれない。いい考えだ。合理的ではある。

 あるが──そいつはどうにも気に入らない。

「……はん」

 シュティードはそういう男だった。合理を優先する時とそうでない時があるのだ。何が引き金なのか傍目には分からない。ともかくウィンチは今その引き金を、八億ネーヴルの脳味噌を沸騰させる引き金を引いてしまった。

 なに、突き詰めればシンプルな理由だ。シュティードはこよなく酒を愛する。煙草も吸うし賭博もやるしポルノも読む。新・禁酒法で制限された全ての嗜好品をこよなく愛しているのだ。馬鹿げた法律で縛られた市街が、彼にとってどれほど息苦しい世界であるかは言うまでもあるまい。

 掃き溜めが市街の二の舞になる。それはつまり酒も煙草も嗜めなくなるということだ。彼がこよなく愛するアークロイヤルとワイルドターキーの香りを楽しめなくなるのだ。意味するところは燃料切れに他ならない。

 シュティードという男にとって──酒と煙草を呑む為に産まれたようなこの男にとって、それは死活問題なのだ。

 怒りで煮崩れた八億の脳味噌は答えを出した。およそ利口とはいえない答えを。

「……エックス・ワイ・ズィー」

「あん?」

 ウィンチの目が逸れる。シュティードが頭突きをかます。そこからは早かった。テーブルを盾に粒子銃の一撃を受け、木片を横目にシュティードは走り出す。

「うそでしょお!」

 反射的にナオンが床へと飛び込む。シュティードはテーブルの角をつかんで振り回し、取り囲む男達を力任せになぎ倒す。胃袋に収まりきっていない料理の数々が遠心力に従って四方へと飛んでいった。逃げ惑う客、汚れる壁、悲鳴を上げるウェイター。これが地獄絵図でなければこの世のどこに地獄があるというのか。

「野郎!」

 後方、新手が二人。シュティードは砲丸投げの要領でテーブルをプレゼントしてやる。彼らが血反吐をぶちまけてダウンしたのを確認するが速いか、彼は足元のケースを拾い、伏せていたナオンを放ったらかして外へと駆け出した。

「いいレストランだ、悪くなかったぜ!」

「てめえ、ふざけんなこの野郎!」ウェイターが叫んだ。「勘定がまだだぞ!」

「請負人だ! ツケとけ!」

「死ね! ウェルダンに焼かれちまえ!」

 どさくさ紛れで棚からワインをかっぱらうシュティード。〝当店ボトルキープお断り〟と書かれたプレートが虚しく床に落ちた。

 こうしてはいられない。次は自分に火の粉が振りかかる番だ。それとも自分で飛んで火に入ったのか。こうなればもうどちらでも同じだ。ナオンは一目散に駆け出した。食い逃げに良心を痛ませながら。

「のぁー! 待てー!」

 ナオンが追いついてくる。ご丁寧に白スーツの男達を引き連れて。

「バカバカバカバカ、バカ! 大バカ! どうすんのさぁ!」

「バカバカうるせえ俺の所為にすんじゃねえついでに俺はバカじゃねえ! つーか、なんでお前まで逃げてんだ!」

「あのままじゃ僕だけ捕まるでしょ!」

「しちめんどくせぇ! 飛ばせクソガキ!」

「何様なんだか!」

 修羅場に佇むトレーラー、踏み込むアクセル。急発進の勢いで頭をぶつけ、シュティードは額を押さえながらミラーに眼をやった。

「ンのクソ野郎がぁ……」

「一体なにやったの!」

「囮捜査だ」シュティードは吐き捨てた。「ハメられたのさ……!」

 職員達が車に乗り込む。流線を描く市街特有のフォルムは国家の犬の象徴。砂塵を巻き上げ、市街の野良犬達は八億の野良猫を歯牙にかけに出た。

 その先頭をウィンチの車両が駆る。

「さぁ──フィーバー・タイムといこうぜぇ」

 ウィンチは目一杯アクセルを踏んだ。




  ◆




 ラズル・ダズルが抱える金貨──残念な彼女の名はI.Vアイヴィーという。本名かは定かではないがここは掃き溜めだ、名前の真贋などさしたる問題ではあるまい。

 彼女に関して知っておかなければならない部分はたったの三つだ。その三つさえ知っておけば仔細はない。三つ以上知っても構わないが、秘密主義の女にとって詮索は銃よりもおぞましい武器となる。やめた方が賢明だろう。特別の好意があれば尚更に。

 一つ。アイヴィーは掃き溜めきっての美人である。その上プロポーションも申し分ない。スラリと伸びた両足は長く、白く、それでいて美を損ねないだけの肉付きがあり、足を組めばそれだけで男の目を──特にポルノに耐性をもたない市街の男の目を──虜にする。身長も女性にしては頭一つ抜けて高く、シュティードと目線の高さが合うほどだ。

 二つ。アイヴィーは掃き溜めきってのデジタル派だ。掃き溜めにしては珍しく市街の最新デバイスを使いこなす。市街の機械を使うには市民権であるIDメモリが必須だが、彼女の腕の前には錠前の錆びほどの意味も持たない。用途はともかく彼女はパソコンに強いのだ。脱衣ポーカーとオンラインゲーム、それからネットを用いた情報収集と掲示板での低俗な戦争で彼女の右に出る者はいない。 

 そして三つ。

 アイヴィーという残念な女は、掃き溜めきってのヘビースモーカーである。

「ヤニが尽きた」

 Dブロック南東、レストレンジアに屹立する請負人一行の隠れ家──かつて酒場だったその一室で、マールボロ・アイシクルはちミリグラムの吸殻を片手にアイヴィーは言った。

「ジーナ、煙草買ってきて」

 呼ばれたジーナがソファの上で仰向けになる。目線は手元のファッション誌から一ミリも八ミリも動かなかった。

「私は行きたいけどファッション誌が離してくれなーい」

「死ね……」

 力なく言って、アイヴィーはゴールデン・アップル社製ノートパソコンのキーボードに頭を預ける。続けて吸殻を灰皿へとねじ込んだ。

 ジャンク部品と真鍮からなる小さな灰皿だ。拷問じみた量の吸殻が詰め込まれており、一本分の隙間もない。悲鳴が聞こえてくるようだった。

 ぽん、と小さな音がする。アイヴィーは掲示板と思しき画面を見やった。

「なになに。〝喫煙者なんて歩く公害みたいなモンだろ、新・禁酒法叩いてんのはお前みたいなクズばっかりだよ。わら〟……。ンだぁこの野郎。不快だ。匿名だと思って好き勝手言いやがって。てめえンの住所引っこ抜いて闇煙草の定期販売に登録してやろーか。しょっぴかれちまえばいーんだ。多様性を許容できない奴なんかみんな死んじまえっ」

 そう吐き捨てて彼女は掲示板を閉じる。およそ多様性を許容できる人間の言葉だとは思いがたい。ソファで寝転がっているジーナが呆れ顔を作るのはいつものことだった。

「ラブアンドピースの精神が足りないナ」

 美人、デジタル派、ヘビースモーカー……どれも今の彼女を見れば一目で分かることだ。最初に〝残念な〟と形容した理由はこの姿にある。猫背でパソコンの画面に悪態をつき、一本吸い終わればまた一本と節操なく煙草に火をつけるさまは──どんな大女優級の美人であろうと──ちまたの根暗そのものだ。

「お前さぁ」ファッション誌を放り出すジーナ。「パソコンやめようとか思わないの」

「それはお前からギャンブルを取り上げるようなもんだ」

「私はいつでもやめられますぅ」

「やめられない奴は皆そう言うんですぅ」

 言いながら煙草に手を伸ばすアイヴィー。箱を振ってみるが煙の神様から返事はない。あったところで灰皿も満タンだ。ジーナはさておき彼女はやめられそうになかった。

「そういうのもうやめた方がいーって。あと煙草も。早死にするよ」

「安心しろ。罰点保持者マイナスホルダーだから死んでも生き返る」

「それは死体が回収されたらでしょー。お前、今いくつなんだよ」

「いくつに見える?」

「うわめんどくさ……」

「女に年齢の話をするな」

「はいはいジーナちゃん二十二でーす。ゾロ目だぜ。ラッキーだぜ」

「来年が運のツキだな」

「おい、私は言ったぞ。いくつなんだよ」

「お前の三つ上だ。敬えクソガキ」

 こともなげに言うアイヴィー。ジーナがいよいよ眉間に皺を寄せた。

「二十五にもなって匿名掲示板の巡回とか……」

「仕事だからな」

「しかもSNSで自撮り上げるのが趣味とか……」

「それも仕事だ!」アイヴィーが机を叩く。「誰が好きでやるか!」

「でも承認欲求は満たされるんだろ」

「まあな。悪い気はしない」

「アイヴィーさぁ、教師とか向いてると思うよ」

「なんだそりゃ。高校の? それとも中学?」

「反面教師」

「くたばれクソアマ」

 ぴぽ、とパソコンが返事をする。アイヴィーが椅子に背を預けた。

「やっとこさ入金だ。シュティードの野郎、えらく待たせやがる」

「まぁ買い物行った時に待たせるのは私達だけどナ。そのうえ荷物も持たせる」

「因果応報ってやつさ」

 気だるそうに言って天井を眺めるアイヴィー。

「アイツはいっつもああだろ。待たせるし、持たせる」

「……それは買い物の話か?」

「好きにとらえろ」

 ジーナがにやつき始める。言葉通り好きにとらえたらしい。

「あら? なんですかその顔は? もしかして、もしかしてー?」

「頭フッ飛ばすぞ」

「娼館あがりにしてはいやに純情ですなぁ。はたしてシュティードがアイヴィーさんを指名する日は来るんでしょうかなぁ。まぁーそこはパネルマジックに期待ですかなぁ」

「テメーもう許さねえ。この間潰れたときのアホ面をネットに晒してやる」

 ブラインド・タッチをかますアイヴィー。凄まじい勢いだ。匿名掲示板で鍛えただけはあるらしい。もがく蜘蛛の足よろしく指がうごめき、次々とウェブページが切り替わる。

「……潰れた? いつの? 先週のウォンデン・ハブ? 私、覚えてない」

「鼻の穴に煙草詰めた挙句ケツに──」

「うわーっ!」

 血相を変えてジーナがパソコンを引ったくる。時既に遅し、ブラウザに表示された画面には〝done〟の字面が窺えた。

「なにすんだバカぁ!」

デビューおめでとう。シャンパン開けるか?」

 ジーナは床に両膝をついて項垂れる。

「違う……私がなりたかったアイドルはこんな……こんなアングラなアイドルじゃない」

「心配すんな。新・禁酒法が制定されてから、市街の奴らはアングラに植えてる。特に女の裸にはな。見ろ、早速ダウンロードされてる。四日後にはSNSでトレンド入りだ」

 アイドル? 私が? 泥酔した挙句鼻に煙草を詰め、ケツに●●●●●●《法抵触により削除》を挟んだ女がアイドルになる? ジーナは慌てた。ファンクラブが出来たらどうしよう、万が一テレビ出演のオファーが来たら? それからアナウンサーなんかにも抜擢ばってきされて、面白くもないニュースをしたり顔で読み上げてみたり? そのうち画像が出回って、誰にも相手にされなくなって、猥褻物アップロードで逮捕されて、行き場もないところをアングラな接客業の店主に拾われ、暗黒面のアイドルに……。

 ジーナの脳味噌がよくない方向に向きかける。そこでアイヴィーが失笑した。

「冗談に決まってんだろ。入金が終わっただけだ」

「なんだよもー! 私パソコン弱いんだからナ、洒落になってない冗談はやめろ」

「だったら冗談でも言っていいことと悪いことの区別をつけろ」

「そんなことは私じゃなくて脊髄に言ってください」

「まぁ脳味噌がポンコツじゃいくら脊髄が頑張っても……」

 パソコンがまた小さく鳴く。今度は聞き覚えのない音だ。アイヴィーが首を傾げた。

「んあ」今度はアイヴィーが叫ぶ番だった。「うわーっ!」

「なんだ死ぬのか」

「金が消えたぁー!」

 羅列された数字がスロットよろしく回転し、残高が見る間に減ってゆく。株価の急落を見ているようだ。それに従ってアイヴィーの顔も青ざめ、その身に纏った濃紺へと近づいていった。

「ちょっと待て待て待て待てぇ!」

「おぉー。すごい勢いだ」

「他人事かよ! ラズル・ダズルの資金でもあるんだぞ!」

 細菌を模したキャラクターがポップアップの中で笑っている。実にレトロだ。古すぎて対策も取れていない旧型のものだろう。

「スパイウェアか? どっから来てんだ。外か? 中か? くそ。完全に油断した」

「あれほどナマには気をつけろと」

「そういう話じゃねーよ!」

「あらいやだ、お食事のお話でしてよ」

「んだぁー! ほんっとお前と話してると調子狂うわぁ!」

 アイヴィーはその長い両脚を折り、椅子の上で体育座りに移行する。スイッチが入ったのだ。モニターの光と眼鏡も相まり、いよいよ完全に引きこもりのギークそのものだ。

「チックショーふざけやがってバカヤロー、アイヴィー様をなめんなよ。サイバー界隈かいわいで私の右に出る奴なんていやしねえってことを思い知らせてやる」

「うわー根暗っぽーい……」

「黙ってろ! ああくそイライラする。煙草だ。煙草を買って来いジーナ。見ての通り私は手が離せない。アイシクルだぞ、八ミリだ。間違えたら今度こそアイドルにしてやる」

「えぇー、私今持ち合わせないよ。一箱七〇〇〇ネーヴルもするじゃん」

 アイヴィーが眉をひそめた。

「ない? ないってどういうことだ。お前、こないだ賞金首一人見逃して三〇〇万ぐらい賄賂わいろもらってたろ」

「ブラックジャックで全部すっちった」

 ぺろ、とジーナが舌を出す。反省の色は見られない。いつものことだ。

「そうか。この際だから言っとくけど私の煙草よりお前のギャンブルの方がやばいぞ」

「そんなことないしー。まあ、とにかくそういうわけだからお金がない」

「そこにシュティードの金庫あるだろ。ぶっ壊して持ってけ」

「それはギャンブルよりやばいぞ」

 ていうかさぁ、とジーナ。

「電子マネーが消えるわけなくない? ZACTが管理してんだよ? そんな簡単に外から読み書きできたら国家のシステムガバガバじゃん」

「だから、そういうことだろ」

「なにが」

「外からじゃなくて、中からなんだよ」

 がしがしと頭をかくアイヴィー。

「馬鹿でも分かりやすいように言ってやる。私らはZACTにられたってことだ」

「なるほど。となると」

 よくわからんという顔でジーナは続けた。

「問題はどっちに出されたかだナ」

「いいからさっさと行けぇ!」



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