その少女は少年をストーキングし続け、殺された。
人殺しの少女はある日、人殺しの少年と出会ってしまった。
――そんな出会いから始まった、ある冬のこと。
人殺しの少女は殺されることで異能を手にし、世界の水面下にて行われる研究の存在を知る。
人の精神を現へと引き出し、異能を与える――そんな、研究。
ある研究で生まれた者は『狂人』と呼ばれ、またある研究で生まれた者は『化身』と呼ばれ、研究員の手の平で戦っている――。
そんな枠組みの中で『狂人でも化身でも無い何者か』へと成ってしまった少女は自らを偽る狂人の少年に手を引かれ、されるがまま彼らの世界へ片足を突っ込んだ。
「そんなことで人は死ぬのか」
人を殺せば人は死んでしまうのだと。
かつて自らの殺した死体を踏みつけながらそんな当たり前のことを考えていた少女は――狂人と化身の殺戮の中で、知ることになる。
人は死んでも一生誰かの中で生き続けているということに。
どれだけ人が変わってもその本質までは変わらないことに。
いつか捨てたはずの人生が全く終わってなどいないことに。
「――僕は」
かつて殺したはずの死体と向き合った時。
たったそれだけの些細で単純な事に、少女は気付いたのだった。
「――私は」
生きていたのだ、と。
◇◇◇◇
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