一章 成れの果ての序曲

二 怪奇連続殺人事件

 最近、気になっている人がいる。


 そんな思考を張り巡らせていた女子生徒――村雲翼は、一つ前の席に座っている男子生徒を眺めていた。


 疑海高等学校一年一組の教室。無口なその男子生徒の名は、水町薫という。

 しかし、以前に翼が話し掛けた時、水町薫は自身のことを朧榮雄海と名乗っていた。それが心に残って、今でもこうして彼を眺めることがあるのだ。

 と、言っても好意はない。他者と違う面を持っている彼に、少しばかりの興味を抱いているだけだった。


 かくいう翼も普段は無口な生徒である。それ故に誰とも関わらず高校生活の春を過ごし、夏を過ごし、今や秋。クラスメイトからは、最早空気として認識されている存在だ。


 そんなことはどうでもいいのだが――。


 現在教師が行っているホームルームも終わり、退屈そうに頬杖を付いていた翼は静かに立ち上がる。今日もいつもと変わらない日常で、ただそれだけだ。


「僕はいつ捕まるんだか」


 ぼそりと呟いて、鞄を手に立ち上がる。


 翼は今年の三月終わりに人を二人ほど殺している。

 殺したのは、自分と同じ中学の同級生の男女だ。


 殺害方法は極めてシンプルで簡単な物だった。階段から突き落としたことによる転落死。そこにトリックは一つもなく、翼はただ彼らの背を押しただけ。

 どうやら目撃者は居なかったようだが、普通ならその日にでも自宅に押し寄せた警察によって逮捕されるはずだ。


 それが、半年も音沙汰無しだ。翼は何事もなく何食わぬ顔で彼らの葬式に赴き、現在では一般生徒に混じって高校生活を謳歌している。

 不思議だ。単純な殺害犯を見付けられないほど警察の捜査はずさんだったのだろうか。

 しかし真実なんてものは、翼には知る由もない。


 翼は教室を後にして、自分が無事な理由を意味もなく考えつつ放課後の帰り道を悠々と歩く。


「怪奇連続殺人事件――もしかすると、それに関係があるのかもしれないな」


 道中。ふと思い出した事件の名を口にして、翼は立ち止まった。この事件は、丁度翼が同級生を殺した春と同時期からこの霞町で頻繁に起きている事件のことだ。


 事件名通り、被害者は無惨な殺され方をしているのがほとんどだ。ある者は、全身の肉が細切れになっていたり内蔵だけを摘出されていたり、またある者は血液のみを抜き出された死体なんてのがいくつも。


 自分が起こした事件もその一部にされているのかもしれない。


「……どうだかな」


 可能性として考えられはするが、薄い。直ぐにその考えを払拭して歩みを再開する。


 実際、翼としては警察に捕まろうがこのまま一生を終えようがどうだってよかったのだが。

 殺した者達に対して罪を償う気もないし、かと言って警察から逃げているわけでもない。


 ただ単純に、腑に落ちないから。

 こんなことを考えるのもただの遊戯、暇潰しの一端でしかない。


「ま、なるようにはなる、か」


 程よく冷たい風が肌を撫でて後方に吹き抜けていくのを感じ、翼は冬の始まりを感じていた。




 ◇




「ねぇ、夢」


「何? どうせろくでもない考え事してたんでしょ」


「ちっがーう!」


 橙と黒のコントラストが美しい、秋の空。

 そろそろ気温も寒くなり始める中、放課後の校舎には二人の女子生徒が居た。


「ならさっさと手を進める! 居残りの課題を残したのは自分なんだから、しっかりやりなさいよ」


 黒く艶々しい長髪を掻き上げた女は、机とにらめっこしている栗色の髪をした生徒を見下ろした。


「だってー、分からないよーばか、手伝って!」


「馬鹿はあんた、自分でやらなきゃ意味がないでしょ?」


 黒髪をセンターで分け、大人びている秀麗な顔が呆れたようにしかめられた。

 抜群のスタイルは制服姿に色気を醸し、短いスカートも相まって妙な妖しさを演出している。


 近魅夢、疑海高等学校に通う一年一組の女子だ。


 毒舌と落ち着いた物腰が目立つが、眼下で必死にペンを握る女子にはそれなりの好意を持っている。


「そうだけどー……そうなんだけどさぁ……ちょっとくらい、ね?」


 対して茶目っ毛を効かせて上目遣いを浴びせるもう片方は、同じく一年一組の如月麻衣と言う。


 一四〇センチという子供っぽい容姿が特徴的で、栗色でショートに切られた癖っ毛が彼女を彼女たらしめる要因になっている。

 どこか小賢しくも憎めない印象を持たせる、そんな少女だ。


「私がこうして待ってあげているだけ、マシに思いなさい。勉強時間外に勉強に関わるのは御免被るわ」


 上目遣いの頼みをきっぱり弾き、夢は麻衣の側頭部に拳をぐりぐりと押し当てる。


「いだだだだ! いだい! やるから、離して!」


「はいはい」


 潔く離すと、痛そうに頭を抑えて麻衣は唸る。


「私だって授業以外で勉強したくないもーん……」


「私は“勉強時間外”と言ったんだけど。それに麻衣に限っては授業中も勉強してないでしょ」


「うぐ、そう痛いところを突きなさるな夢さんや」


 いつまで経っても先に進まない麻衣のプリントに、渋い表情を叩き付ける夢。


「そろそろ帰っていい?」


「なら私も帰ります!」


「そんなことばっかりしてると授業落とすわよ。留年したいわけ?」


 立ち上がろうとした麻衣の頭頂部に軽く手刀を入れ、夢は隣の空いた席に腰を降ろすと。


「ちゃっちゃと終わらせなよ、待っててあげるから」


「さすが夢さん分かってらっしゃるぅ」


「……殴るわよ」


 夢は麻衣に見せ付けるようにして右拳を握り締め、わなわなと震わせる。


「ん?」


 しかし、夢は床にプリントが落ちているのを発見してすぐに拳を解いた。安堵する麻衣を他所に裏になったプリントを摘まみ、夢はにやりとほくそ笑む。


 ――村雲翼、百点。

 これは午前にやった物理のテストが返された物だ。百点を取ったテスト用紙をそこらにほっぽり捨てるなんてと夢は思ったが、一先ず用紙を麻衣の眼前に突き付けてやった。


「村雲さんは今日の物理のテストで百点だってさ」


「なにそれ……てか他の人と比べるなんてずるい! でも私の今の課題は数学なんですー」


「物理は数学も使うんだけど……ところで麻衣、物理のテスト何点?」


 うげ、と身体を硬直させた麻衣は、震えた声で自らの点数を吐いた。


「……三一点」


「赤点ぎりぎりじゃん」


 案の定の答えだったので、夢は呆れることも動揺することもなかった。麻衣の点数には最初から諦めを付けている。


 それで居残りに付き合わされるのはいつもいつも自分なので、いい加減学習して欲しいものだが。

 まあ物理に関しては比較的難しい内容を取り扱っていたので、まだ見逃してやってもいい。


「にしても、満点は凄いわね」


 夢も頭は悪くないが、物理は八六点だった。意地の悪い物理の先生が引っ掛けや落としの入った問題を配点低めでテストに投入させて来るのだが、村雲翼はその全てを突破したらしい。


「麻衣、村雲さんに勉強教えて貰ったら?」


「えっ、私一言も喋ったことないよ」


「私もないけど、麻衣は席近いじゃん。今更手段を選んでいる暇は麻衣にはないわ」


「酷い!」


 プリントを翼の机の中にしまってあげ、夢はそのまま机に突っ伏す。


「じゃ私は寝るから起きるまでによろしく。あ、起きる前に終わったら丁寧に起こしてね」


「重ね重ね酷い!」




 ◇




 ――偶然たまたま、彼――朧榮雄海――を見付けた。ならばどうするか? そうだ、後を付けてみよう。


 帰り道半ばで“水町薫”を発見した翼は、にやりと笑みを浮かべて歩調を変えた。


 本名“水町薫”、偽名“朧榮雄海”。

 そんな彼のことを、翼は朧榮君と呼ぶことにしている。理由はないが、強いて言えば彼がそう名乗ったからだ。

 ならばその通りに呼んでやろうというのが、翼の考えである。


 数十メートル先を歩いている彼の後ろ、歩調を合わせて悠然と進む翼の感情は――久方振りに高まっていた。

 ストーカー、ストーキング、その行為。一人の男子生徒へじりじり詰め寄るのは、そう嫌いではない。同時に懐かしい感覚でもある。


「今日はどう、暇を潰そうか」


 小さく呟いた翼の放課後は、玩具を得たばかりの子供のように愉しめる日となってくれそうだ。


 基本的に彼は喋らない。学内だけではなく、学外においてもそれは同じだった。

 高校生にしては妙に落ち着いた彼。その素顔を暴いてやりたい。


 翼はそんなことを想いながら、今日も彼の後を付ける。

 しかしながら彼のストーキングを実行するのもこれで五度目だ。


 今日もいつも通りに終わるのだろうと勝手に予想を立てていると――。


「おや」


 その彼がいつもと違う行動を取ったのを確認して、翼は口端を愉しげに歪めた。


 唐突に路地裏へと進路を変えた彼を追うべく、翼は気配を完全に断ちつつ駆け足でその背を追い掛ける。


 今まで彼が寄り道をしたことなど一度もなかった。

 その彼が、今日は初めて別の道へと足を運んだのだ。


 是非ともその行動の理由を知りたい。

 緊張感に心臓を弾けさせ、翼は路地裏へ曲がる――。


 それとその顔が驚愕に満ちたのは、すぐのことだった。


「何か用か?」


 路地裏の入り口で待ち構えていたその彼が、無表情に仁王立ちの姿で翼を見据えていた。冷静に刺し貫くその漆黒の瞳は、翼を捉えて微動だにしない。


「……ん? 僕はたまたま通り掛かっただけなんだが」


「今日で五回目だな。四回までは“たまたま”で済むことにしてやっても、五回目で路地裏に足を運んだ理由はなんだ? たまたまと言うのなら、こんなところまで足を運ぶ理由はどこにもないはずだ」


 まさか、気付かれていようとは――。

 一体どこから不審に思い、そもそもどのように翼のストーキングに気付いたというのか。彼はそれほどまでに、一度も不審がった素振りを見せてはいなかった。


 翼は歯噛みし、眉をひそめて彼の顔を見返した。


「ふむ、そうか。君は僕と同じ帰り道のようだね。僕に関して言えば、今日はこの先に用があったのだが――少し、被害妄想が過ぎるんじゃないのか?」


 口から出任せもいい苦し紛れの台詞を言い放ち、僕は苦笑した。そうした態度に不愉快さを見せた彼は、眉間の下を指で摘まんで表情を厳しくする。


「あー……お前、今動揺していただろ。それは何故だ?」


「曲がり角を曲がった先で男に突然声を掛けられれば、驚きもするさ」


 動揺したのは追跡が明るみに晒されたからであったが、よもや素直に白状する犯罪者はどこにもいまい。


 にべもなく返すと、彼は溜め息を一つ吐き出して翼から目線を逸らした。


 翼はそれなりには口が上手い。

 確かに翼の行為は不自然極まりないが、確信に至るほどの醜態や落ち度も晒していない現状で、自らの行為をばらすような真似は絶対にしなかった。


 極めて冷静に、冷淡に。興味なさげに翼は吐き捨てる。


「すまないが、用事があってね。先を急がないのであれば退いてはくれないかい?」


 ――しかし。

 これで明らかな警戒心を植え付けてしまったな。

 今後の行動に支障が生じてしまう。

 これではいけない。十分な失態だ。


「……そうだな。“たまたま”か。すまなかったな」


 翼の横を通り抜け、朧榮雄海は堂々とした足取りで通りに消えて行く。

 無論、追い掛けるわけにもいかないのは当然。


「ふむ、含みのある言葉だったな」


 代わり。離れ行く背中を眺め、どうしようかと思案していた。




 ◇




 翌日の学校でのことであった。


 いつも通りの日常を過ごすべく、教室にて怠惰な格好で机の上に頬を置いていた翼は、妙な視線がちらちらと翼を見やる気配に、気が付いていた。


「……彼、ではないが」


 朧榮雄海その人はまだ登校してはいない。だからこそ、不自然な視線に受ける第一の感情は、違和感であった。


 今更、翼に対して空気以上の存在価値をくれた人物がどこにいるのだろうか。


「……」


 ほんの少しだけ身体をずらし、それが来る方へ目を合わす。


「――ひゃいっ!」


 翼を見ていたのは、同じクラスメイトの女子――麻衣だった。突然翼に視線を交わされたことで驚愕した麻衣は、びくんと震わせて素っ頓狂な声を上げた。


 その調子で顎を置く台と化していた肘の位置が崩れ、勢い良く机に顔面をぶつける。


 周りのクラスメイトの一部からどっと笑いが込み上げた。


「……なんだあれは」


 すぐに興味を失った翼はといえば、はぁと溜め息を吐いて視線を戻す。

 もう、先ほどの視線についてなどどうでもよくなっていた。


「朧榮君、遅いな」


 既にその意識が昨日の過ちと今日学校に姿を現さない彼のことで一杯だったためだ。


「あ、あの、あの村雲さん!」


 と。そこへ再び邪魔が入る。

 翼はうんざりしたものの、そんな表情は見せずに声を掛けてきた方へ首を回した。


「……何かの用事かい?」


 意図はしていなかったが、昨日の彼の態度とほとんど同じように接していた翼は、ふむと頭の中でのみ頷き、態度を軟化させる。


「あ、あぁ、あははは……はじめまして! 如月麻衣です!」


「は?」


 非常にテンパっていた様子の彼女の頬は紅潮している。

 唐突に意味の分からない自己紹介を貰い、翼は思わず目を丸くした。


 何故ここで自己紹介をするに至ったのか。

 質問の意図が通じていたのだろうか。

 そもそもどうして話し掛けてきたのか。


 というかこの麻衣という女子は頭が大丈夫なのか。

 自分が他人のこをとやかく言える立場にいないのは理解しているが、この女子はもっと別の意味で抜けているように思われる。


「……初めまして。それで?」


 眉根を寄せたものの、社交辞令は欠かさない。再度用件を訊くと、今度こそしっかりとした返答が返ってきた。


「あのですね……今日放課後に数学の再テストがあるんですけど……成績優秀者の村雲さん! どうかこの私めにお力添えお願いします!」


「……うん?」


 とりあえず。

 頭脳の方は、大丈夫ではなさそうだ。




 ◇




 とある寂れた店の片隅。


 そこに、疑海高等学校の制服を着た一人の男子生徒が佇んでいた。

 紺色のブレザーは血に侵食され、その中に覗く白いシャツは血糊の影響を一番に受けて真っ赤に染まっている。


「……最近、多いぞ」


 その男子生徒の右手には、生首が一つ。頭だけになって尚眼球をぐるぐる回すその瞳が、それを見下す男子生徒に注がれる。


 そんなのは歯牙にもかけずに生首を放り投げ、男子生徒は返り血の付いていない椅子に腰掛けた。


 眼下の首無し死体を邪魔だと言わんばかりに蹴り飛ばし、溜め息を一つ。


 その死体はとある店のスタッフが着用する制服。

 この死体は、店員だ。


 男子生徒は退屈そうに店内を見回し、また溜め息を吐いた。


 大人しく調えられた店のお洒落な雰囲気から喫茶店か何かなのだという予測は立てられていたが、今更どうであろうと関係のないことだ。


 店員は血の海と化した店内を最後に“行方不明”になるのだから、そんな店は直に潰れて空き物件となるだろう。


 頬杖を付いたその男子生徒の右手から、血と肉の付着した一本の短刀がテーブルに置かれた。

 首を両断した、刃物。

 テーブルに設置された紙を乱暴に漁って刃の汚れを拭き取り、苛々しながらもただ席に座っている。


 それはまるで誰かを待っているような姿だったが――。


「遅いぞ」


 からんと出入り扉の鈴が鳴った音を耳に入れ、男子生徒は早々に口を開いた。


「あー、わりぃわりぃ。別の案件で忙しかったもんでな」


 どうやら本当に待っていたらしい。

 人殺しをした場所で泰然と人待ちをしている男子生徒の姿はどこからどう見ても歪である。

 そうなってしまう程度には人殺しを経験している彼にとっては、それが当たり前なのだが。


 洒落た茶色のジャケット。黒系のジーンズ。

 私服に身を包んだ男に目をくれてやると、男子生徒は忌々しげに呟く。


「後処理は迅速にやってくれないと二度手間になるんだからな」


 びくびくと痙攣を続ける生首を一瞥し、興味無さげにテーブルに置かれた短刀へ視線を落とした。


「だから、わりぃってんだろ。そんなに早く来てほしいなら連絡でも寄越しやがれ。こっちの情報網も完璧じゃないんだよ」


「“狂人”と“研究員”の関係ってのがそこまで親密だと思っているのなら、お前はとんだ外道だな」


 研究員の軽い口調に苛立ちを増加させた男子生徒は、辛辣に吐き捨てた。


「まあいい、いつも通りに来てやるからそうカリカリすんなよ。……で、そいつは【湾曲】でいいんだな?」


「ああ、間違いない。今日はこれで終わりか?」


「いいや? 残念だがもう一件“化身”の情報が届いているもんでな。これから向かって貰いたい」


「……そうか。どんな相手だ?」


 三度目の溜め息を溢した男子生徒だったが、しかし予想通りだったのか特に言及はしなかった。


「【血】だ」


「あぁ、最近の――」


 立ち上がった男子生徒は、研究員に居場所を要求する。


「どこにいる?」


「外れの解体予定地だった廃工場に、堂々と居を構えている。【湾曲】よりも遥かに手強いぞ」


「そうか、そりゃあ楽しみだ」


 短刀を鞘に収め、神妙な面持ちをしていた男子生徒に研究員が言葉を掛けた。


「そうそう。これは余談だが、お前、最近ファンができたらしいじゃねぇか」


 どうやら本題とは外れた内容のようで。男子生徒は舌打ちをして、研究員から顔を背ける。


「それを知ってんなら、どうにかしてくれ」


「気が向いたらな」


 適当な返事をした研究員をもう相手にはせず、男子生徒は扉から外へ出ていった。


「さて」


 からんと鳴った店内。くわえた煙草に火を点火した研究員は、生首に目をやった。


「――仕事だ」


 服の内側から取り出した注射器を手の内で弄んでいた研究員は、生首の元へと向かう――。





 舞台はここ、霞町。


 それぞれがそれぞれの思惑を持って、血みどろの物語は着実に紡がれていく。

 歪に彩られた人間讃歌は一つの事件から始まった。


 今日、この日。全てを動かす歯車が、ぎこちなく、確かに廻りを開始する――。


 この世の表を生きる者達と、裏を生きる者共。成れの果ての序曲は、それらの邂逅によって、今――。

 始まる(終わる)のだ。

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