夢月七海

語り手である「ぼく」の言葉も、それが向けられる「きみ」の気持ちも分かってしまうため、より切なく悲しく感じられます。 しかし、ただ最後まで切ないという気持ちだけでは終わらない読後感が…続きを読む

全三話、短くモノローグ中心でまとまっていますが、それぞれ異なる視点からのお話です。 一話、二話、三話と、全てぞくぞくしますが、全く意味合いの違っていて、しっかりと物語が進んでいる所…続きを読む

有名な童話のその後の話から、お金があれば幸せなのか、自分の願いが叶ったら幸せなのか、お金持ちと結婚出来たら幸せなのかと、色んな幸福の形を考えさせられます。 インタビューを受けている…続きを読む

目の前に美しい自然が広がるような情景描写に、まず圧倒されました。 そこから、主人公と少女との、言葉を介さない、しかし優しいやり取りが胸を打ちます。 ラストシーンに向けての盛り上がり…続きを読む

ファンタジーな出来事だけれど、主人公の置かれている状況や心情などは現実的で、地に足が着いている感覚で読んでいきました。 どうしても欲しいと思ったさいわいか、あるいは……という選択肢…続きを読む

言葉遣いや描写がとてもシンプルな分、お話がストレートに伝わってきます。
忘れかけていたものの素晴らしさを、ふっと思い出させてくれます。

一人称語りのため、物語世界の全貌が見えないことで、ひりひりとした緊張感が、作品の冒頭に漂っています。 そこから、何がどうなっているのかが分かった瞬間、ぞわりとする感覚は、癖になって…続きを読む

少女の言葉が、痛いほどに真っ直ぐな眼差しが、どれもぐっと来てしまいます。 彼女が腹を決めて歌っているのではなく、未だ揺らいでいる部分を見せる所が、また素敵です。 夢を持つことの苦し…続きを読む

多少皮肉っぽい使われ方をしているようにも感じられる「さいわい」が、本当の「さいわい」に変化する、転換後のラストシーンが印象的でした。 心穏やかで、幸福そうなその姿を描く言葉が、読ん…続きを読む

作者様に起きた台風被害を、身バレしない程度に赤裸々に書き綴られています。 もしも、同じことが起きたらどうすればいいのかと、非常に勉強になりました。 個人的には、停電した時の充電場所…続きを読む

彼らの姿が、とても可愛らしくて、ぐっときます。
素直に頑張れと言いたくなりました。

暗いトンネルを、手元の灯りと鳥籠だけを持って歩く主人公の様子を淡々と、しかし質感を伴って、描いています。 風雲急を告げる展開から、ラストの一文まで、謎が多くて、ぞくぞくしながら読み…続きを読む

幼い子にも読み聞かせられるような、優しくて美しい言葉で、この一篇は描かれています。
言葉を選ぶ大変さがよく分かるからこそ、この話が素晴らしく感じました。

ハードルを上げるようですみません。しかし、生半可な気持ちでは読めなくなると思いました。 私も、かつて、父が巣から落ちた雛鳥を拾った時のことを思い出しました。 その雛が、失明していて…続きを読む

電車のように動く喫茶店や、喋る黒猫、そして立ち寄った国の美しさから、早速心が惹かれていました。 しかし、この国で出会った人たちの話は、現在の私たちとは全く無縁だと言い切ることが出来…続きを読む

ホームルームのほのぼのとした第一話から、急展開する二話の回想、後日談の第三話と、それぞれ全く異なる雰囲気ですので、まるでジェットコースターに乗ったかのように楽しめました。 三話のあ…続きを読む

窓の外にある木にとまる鳥を、幸福を運んでくる鳥だと思っている「私」。
ささやかな楽しみが、予想だにしなかったラストを引き起こし、世界がひっくり返ったかのような衝撃がありました。

設定の意外性に面くらいましたが、その深い純愛に胸撃たれました。 タグのあるように、純文学のような言葉遣いが、非常に素晴らしいです。登場人物の心情を、繊細に浮かび上がらせています。 …続きを読む

短いながらも、多くの人に突き刺さると思います。
見失いやすい大切なものを、優しい言葉で描かれています。

章題の文字り方に、まず目を見張りました。 先輩と後輩の二人の関係が、変わりそうで変わらなくて、そのやきもき感が心地よかったです。 短い言葉がリズムよく積まれていきますが、ふとした一…続きを読む

一組の姉妹と、一人の男性との恋愛を、じっくりと描いています。 妹目線と男性目線があるので、どちらにも感情移入して、より切なくなりました。ちょっとした光景や言動にも、二人の心情が良く…続きを読む

男女のやり取り、その艶っぽさと切なさに、胸を掴まれました。 幕末という時代と、それぞれの立場から生まれる悩みを丁寧に描かれています。 様々な逡巡の果てのラストシーンは、よりきゅんと…続きを読む

一つの生き物の不思議な生態と、一人の男性の心情と人生がリンクしている様子が、物語の奥行きをより一層深めているようでした。 この世界観と、それを表すために紡がれた言葉一つ一つまた美し…続きを読む

地図から過去を辿るという発想から、心を掴まれていました。 その設定から描かれている物語は、予想もしない展開を読んで、意外なラストへと導かれていきます。 しかし、それを「切ない」とい…続きを読む

大ピンチの状況から、正反対の性格の二人の距離が、段々と近付いていく様子が、しっかりと描かれていました。
最終話の展開は、テンションが上がりました。

王道な冒険もののプロローグを読んでいるようで、非常にわくわくしながら読み進めていきました。 1500文字の中に様々な情報が詰め込まれているので、そこからこの世界観が読み取れて、より…続きを読む

ただひたすらに、情熱が溢れ出している一作です。 緊張感ある第一話と、段々とそれが緩和していく過程もまた面白かったです。 自分の持つ全てをかけて、勝利をもぎ取ろうとする主人公の姿は、…続きを読む

結婚に、足踏みしている主人公が、さりげなくて当たり前だけど、見落とされてしまっていた言葉に背中を押してもらいます。 立ち止まっていた彼女が、こちらから新しい一歩を踏み出せるまでの過…続きを読む

育児の大変さ、お母さんのすごさが、妙にハイテンションな実況で描写されているのが、可笑しかったです。 さりげなく、赤ちゃんに接するときの注意も書いてあるので、勉強になります。 突然の…続きを読む

自宅に帰ってきた女性が、恋人のいないことに驚き、彼を必死に探している時、一緒にどきどきとしていました。 展開が一転三転するので、そこから本当のことが描かれた分を読んだ瞬間、世界がひ…続きを読む

傍から見たら、ワイワイガヤガヤと、仲良しで楽しそうな焼き肉の風景ですが、弟だけは戦いの真っただ中というギャップが面白かったです。 ありえそうな場面を、可笑しみと悲哀たっぷりに、個性…続きを読む

これからどうなるのか、彼らは助かるのかなど、ずっとハラハラしながら読み進めていきました。 屋敷の謎が分かってからの急展開は、ぞくっとします。 最後の一文は、ただただ唸ってしまいまし…続きを読む

お風呂に入るだけでも大変な介護現場のリアルを、淀みなく描かれています。 「私」以外の職員の話も、身に迫ってきました。 たくさんの利用者を抱えて、様々な想定外に対処して、身をすり減ら…続きを読む

「最後」ではなく「最期の闘い」と書かれていた理由を、読み終わった後に考えました。
共感や同調などを超えて、老剣士の生き様には、無条件でぐっとくるものがあります。

鍛冶職人として包丁を作り続ける、父のセリフから、その信念がひしひしと感じられました。 娘の目から見た父の姿から、職人の奥深さというよりも、業の深さのようなものを垣間見ました。 短く…続きを読む

今にも朽ちそうな廃墟、恐ろしい鬼、散っていった仲間たち、残り時間……全体を説明されていない分、どうしてこうなったのかなど様々な想像を膨らませます。 はらはらする場面が続き、一転手に…続きを読む

いきなり主人公の目の前で繰り広げられるバトル、それに対する主人公の反応と心情、突然の展開と、面白い物語の始まり方としては、悔しいくらいに完璧でした。 これが長編だったら……と考えて…続きを読む

二人きりの空間で、熱い戦いが繰り広げられている様子が丁寧に描かれています。 剣道の動作による、静と動のメリハリが、より物語の世界に引き込ませていきます。 ラストも爽やかで、素晴らし…続きを読む

RTAを全く知らないのですが、描写を邪魔しないように用語を説明されているので、無理なく読めました。 ゲームの世界に、コントローラーを握り、刹那にすべてをかける主人公と共に一喜一憂し…続きを読む

高校三年生の、幼馴染四人で過ごす最後の夏休みのワンシーンを、丁寧に丁寧に描き出しています。 全体的に爽やかさを感じさせながら、主人公の気持ちにスポットを当てていて、少し切なくもなる…続きを読む

主人公の行いは、善とか悪とかを超越したものとして、私の胸に迫ってきました。 主人公を、糾弾することは我々に出来るのだろうか？ 果たして、これがSFだと、フィクションだと片付けてしま…続きを読む

何気ない男女の会話からの急展開が驚かされました。
美しい情景が目の前に広がりますが、最後まで切なさと寂しさが胸に響く一作でした。

ロマンチックな光景と、聞いたことが無いけれど想像できる用語にわくわくさせられました。こんな光景をぜひ見てみたいです。 淡々としながらも、「心」という今現在にも不可思議なものに、深く…続きを読む

コップに浮かぶ漣から、家族の様子を見ている「私」の語りから、この家族の中の良さや愛情を深く感じます。 作中のちょっとした仕掛けに驚いた後に、最後の言葉がじんわりと沁み込んでいきます…続きを読む

短い物語の中に、主人公の背景が見え隠れするので、それについてあれこれ想像しながら読み終えました。
なんとも幸福な気持ちになり、私も頑張っていこうと自然にそう思える一作です。

素直にどきどきしたり、はらはらしたり、きゅんとしたりしました。
親父さん、頑張れ！　と心からのエールを送りたくなります。
移り変わる季節を感じられる風景描写もまた素晴らしいです。

来てしまいそうな未来と、その世界で主人公の葛藤が重厚感を持って迫ってきます。 主人公とその友人、どちらにも感情移入が出来るからこそ、最後はすっきりというよりも、少しやるせなく感じら…続きを読む

本編は未読ですが、登場人物たちのキャラクターをすぐに把握できたので、非常に楽しめました。 ちょっとしたやり取りで、くすりときたりにやにやしたりしてしまいます。 クイズの内容も難しい…続きを読む

テスト勉強をする二人の少年の会話を描いています。 これがなぜ「ミステリー」になるのか……それがネタバレになってしまうので、説明できないのが歯痒いです。 読後に、様々な景色に思いを巡…続きを読む

四月の同題異話「春はまだ青いか」に登場した人物たちの、思い出と未来が丁寧に描かれています。 こちらを単体でも読めますが、「春はまだ青いか」も目を通した後なら、さらに味わい深くなりま…続きを読む