閉じ込められた空間、少女のモノローグで進む物語は全容が見えない分、ぞわりとする不安感を生みます。この著者様の作品は、どれを読んでも無駄のない文章で見事に表現されていて、珠玉です。短編ホラーの名手です。
一人称語りのため、物語世界の全貌が見えないことで、ひりひりとした緊張感が、作品の冒頭に漂っています。そこから、何がどうなっているのかが分かった瞬間、ぞわりとする感覚は、癖になってしまいそうです。最後の補足で、少女のそれ以前とその後のイメージが大きく広がり、余韻が深い作品でもあります。
もっと見る