山野ねこ ホラー短編集

作者 山野ねこ

39

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★★ Very Good!!

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ホラーに欠かせないのが「生命の危機」と「警告」。

前者は言わずもがな。
「殺人鬼や悪霊に追われる」のと「万引きGメンに追われる」のとでは危機感がまるで違う。

Gメンも描写次第で面白くなりそうだけど。
いや実際面白いんじゃないか? 内申点に響くのを恐れる学生とか、アル中故にワンカップパクって早く飲みたいダメな大人とか。
それはひとまず置いといて……。

人間が最も恐れるのはやはり「殺される事」でしょう。殺されるまではいかなくても、死に等しいような耐え難い苦痛は誰だって嫌だ。

幸運にも日常で死を予感しないからこそ、非日常的な状況に恐怖し、感情を刺激される。
もはや麻薬みたいなものですね。死ななきゃホラーにならないくらい麻痺してくる。

後者の「警告」がミソ。
ゾンビ映画なら、パンデミックがあったり住人の様子が変だったり。
はたまた怪しい人に「絶対に○○するな」と言われたり。

そういう前フリがあるからこそ、読み手は「これからああいう展開になるのか」とか「しちゃダメなんだけど、コイツするんだろうな」と覚悟するわけです。

本作は「生命の危機」は勿論、「警告」もキチンと序盤に立てております。
人形を捨てるな、とか。嘘をつかなきゃ生きていけない人もいる、とか。見ようと思った未来しか見ない、とか。

誰かに忠告されるタイプなら、読者もすぐに感づく。そしてその警告を無視する結果となるのを覚悟(ある意味期待)する。

それとは別に、伏線として後から効いてくるタイプもあります。
サメ相手に一転攻勢しようと背後を張ったら、序盤で怪我した所から血が出ていて……みたいな。あまり良い例が思いつかない。
これは3話目が当てはまりますかね。「私が先だから」という台詞がガツンと脳を揺らしてきます。

短編なので、余計な要素を何一つ加えず、最短距離で駆け抜けるために、スピード感も読み応えもある。

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★★★ Excellent!!!

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それぞれ異なる物語の短編集ですが、特筆すべき点は描写力の素晴らしさですね。
それも結末をはっきりとさせていない分、余計に怖い。読み手の想像力を掻き立てるこの技法は心理的に『恐怖心』というものに拍車を掛けているんですよね。
ベテランのホラー作家さんなどの作品でも、こういった技法を見る事がありますが、描写力に優れていないと怖くなくなってしまうもので、なかなか難しいテクニックだと思いますが、山野ねこさんは抜群に上手い!
気軽に、しかし本当に怖いホラー小説が読みたいという方には是非読んで頂きたいですね。

★★★ Excellent!!!

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それぞれ独立した短編ですが、共通して独特な雰囲気があります。

物語に潜む日常も、日常の中に見え隠れする非日常も、絶妙なバランスで混じり合い、特にホラーとしては、その独特な不気味さが恐怖感を演出させているのだと感じました。

作者様の発想力にも目を惹かれますが、その圧倒的な描写力は、物語に対する愛情と、一朝一夕では到達し難い技術を持っていらっしゃると思いました。

読んでいて勉強になりました。
ありがとうございます。


にぎた

★★★ Excellent!!!

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ネタバレをさけるために、第一話「いぬのかお」についてレビューを書きます。
しかし、このレビューは多少ネタバレ的要素を含むかもしれません、未読の方はご注意ください。

田舎で、地域から孤立した親子、息子は還暦前後でしょうか、貧しさ故、息子は母との心中を決め、遺体の処理を、「犬」に任せることとします。
どう任せるのかは、読んでのお楽しみですが、息子の思惑と違い、事態は思わぬ方向に動き、そこで不気味な出来事が起こります。

事態が進むにつれて、不気味さはじわじわと増し、そしてラストを読んだとき知るのです、本当に不気味で怖いのはモノノケだの怪異現象ではない、それを前にしたときのヒトの心だ、と。

しかし、本作に於けるヒトの心の不気味さは、貧困とかコミュニティからの孤立が遠因としてあり、同時に愛情に飢えたが故とも分析できて、するとこのお話は、田舎ではなく都会でも成立しますね。ムラ社会ではなく、都会でも。どこでも。
ほら、あなたのお隣の犬の顔も。そらそら……。

★★★ Excellent!!!

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序盤からホラーの雰囲気が出ていて、その世界観にグイグイ惹きこまれていきました。
精神に訴えかけてくるような描写が、本当にすごいです。
頭の中にずっと、薄暗くてじめじめした嫌な雰囲気が浮かび上がっていて、思わず固唾をのんでしまいます。
語り口調の主人公の気食悪さも最高でした。
まさに本格ホラーって感じです。

★★★ Excellent!!!

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もう怖いもの見たさと言うか、病みつきと言うか……
止められない止まらない(汗)

オムニバス形式でいろんな話が収録されているので、興味を持ったタイトルから見て行くのがおススメ。

……気づいたら他の話も読んでいますよ。

★★★ Excellent!!!

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「いぬのかお」の男も「記念日には青い薔薇を」のおばあさんも、たわい無さそうなお喋りがいつしか……。

ホラーは構成が勝負だと思いますが、そこが旨い。じわじわと読者を追い詰めます。キャラクターを浮かび上がらせる巧みな台詞が際立ちます。

★★★ Excellent!!!

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しっかりとしたストーリー構成、精緻な描写で綴られる、ホラー・サスペンスの数々。
今は一話だけ読もう……と思っても、作者様の世界観に引き込まれて、すぐにでも次のお話が読みたくなってしまいます。

現時点まで読んだお話の中では、『記念日には青い薔薇を』が特に印象に残っています。
舞台は美しい薔薇に囲まれた美しい温室なのですが、老婆の話を聞いているうちに、その場所が徐々に世にも恐ろしい秘密の園へと変わっていきます。彼女が隠し持った闇と業の深さに、うすら寒いものを感じました。おすすめの一作です。

★★★ Excellent!!!

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筆者のホラー短編集です。

硝子に凍る花になるがお気に入りです!

短い文章の中にも、人の憎悪や嫉妬の感情が溢れ、若いからこその情熱・思念を感じました。

若返りたい方、こんな年の時もあったなと思えるかもしれませんw

次の話にも、期待して星3つ送らせて頂きます。