夢月七海

切なさを感じつつ、言葉遊びを味わいながら読んでいる時に、作中の意外な仕掛けに気付きました。
日常的なことから始まり、最後の「僕」の語る世界の広大さと小ささに、ぐっときました。

こう言っては悪いですが、たくさんの本を読んでいると、展開が予想できるようになってしまいます。 しかし、この作品は、「こうでなるかな」「こうであってほしいな」という気持ちを上手に裏切…続きを読む

今風な話し方と地の文の中に、七夕の知識と伝統が自然に入ってくるので、非常に違和感なく読みました。 今も昔も、人の考え方や恋のことは、それほど変わらないのかもしれないなと、微笑ましく…続きを読む

小悪魔のような子供の可愛らしさと、わがままっぷりが描かれていて、第三者としては微笑ましく読み終えました。 最後の大問題には、どうやって解決しようかと、私も頭を悩ませてしまいます。 …続きを読む

ラブとコメディの絶妙な配分で、しっかり笑えますし、ちゃっかりきゅんとします。
意外性を上手く裏切ってくれるので、短くても読みごたえがあります。

大切な人と過ごした時間とその別れを、自分の気持ちをしっかり見つめながら、丁寧に描かれています。
語り手の実直で優しい言葉と、催涙雨の意味を目にした時、胸に来るものがありました。

ラストシーンが非常に印象的でした。彼女の心情語一つ一つに、強い力を感じます。 描写も大人っぽくて優しくて、作品の雰囲気が、決して重苦しくなりすぎないように描かれていると感じました。…続きを読む

胃がキリキリするようなセリフの後の展開に、目を見張りました。 人の心の底を見てしまった気分で、とても恐ろしくなりました。 これからどうなるのか、とても気になる一方で、そのまま目をそ…続きを読む

こんなことがあったのかと、興味深く読み進めました。
いつの日か、アンビ〇ーバボーなどで取り上げられそうな、奇想天外な事件です。
展開が多くあって、文の最後まで飽きさせません。

第三者目線なので、笑いながら読み終えました。 しかし、このような問題は、男女関係以外にも往々にしてあるような気もします。 二人のどちら側なのか、自分に当てはめて見るのも面白いと思い…続きを読む

いつもと変わらないような、おふざけ半分の友人とのやり取りからの急展開に、こちらまで呑み込まれてしまいました。 しかし、一番恐ろしいのはその後に来る文で、私もクトゥルフの深淵を覗き込…続きを読む

個性豊かなキャラクターと、実在した人物である南方熊楠とのやり取りがとても癖になります。 ロンドンとその時代についても詳しく書いているので、殆ど知識が無くても、楽しく読むことが出来ま…続きを読む

読み進めていくうちに明らかになっていく、兄弟の一筋縄ではいかない関係に、ドキドキしました。 お互いに思いやっているからこそ浮かんでくる遠慮が、文中に見えてきて、それらも段々変わって…続きを読む

ちょっとした仕草やセリフにも、二人の心情が深く描き込まれていて、非常に読みごたえを感じました。 少し切なくも、尾を引かないラストがとても爽やかで、私も心の底から幸福な気持ちになれま…続きを読む

美しくも、どこまでも寂しい光景が、目の前に広がっていきました。 二人のやり取り、行為、セリフの意味を考えると、どうしようもなく悲しみに似た苦しさを感じられました。 それらをすべて包…続きを読む

ぞわっとしました。
様々な気持ちを内包して、「ああ」と溜め息をついてしまう作品です。
非常に短い中でとてもよく出来ているので、ぜひ読んでほしいです。

特にホラー的な展開が起きていないのに、何かが始まりそうな嫌な予感がずっと続いていました。 主人公の諦観の原因が分かった瞬間は、どうしようもない悲しみに包まれました。 ラストまで読ん…続きを読む

二人の静かな会話から、この複雑な関係性を浮かび上がらせています。 しかし、全てを語り切っている訳ではなく、読者の想像に任せている点がまた、心憎い演出となっています。 「僕」が彼女に…続きを読む

爽やかさを感じる冒頭から、青年が現れる瞬間に一気に雰囲気が変わりました。 短い中でも緩急が素晴らしく、また方言の会話もキャラクターをよく表していて、どきどきします。 続きがあるなら…続きを読む

主人公が過労で倒れたことがきっかけに、故郷に戻ってくるという物語ですが、そこに至るまでの経緯が中々心苦しく感じました。 しかし、家族や隣人の青年のお陰で、彼の心と体が段々と回復して…続きを読む

主人公がいじめられていた過去を思い出す第一話は暗いですが、配達員が登場する後からはジェットコースターのように面白さが上がっていきます。 リズミカルなセリフの応酬と、かっこいいシーン…続きを読む

早速レビューするのを放棄してしまいそうですが、本心をそのまま書いたら、そうなってしまいます。 二人称小説の仕掛けを上手く使った、素晴らしい作品です。 正直、ネット小説でも商業小説で…続きを読む

偶然見かけた出来事から、主人公が子供の頃の、ちょっとした出来事を思い出します。 色と風景描写が巧みで、褪せない思い出が、読者の目の前に広がっていくように感じました。 そしてその思い…続きを読む

それぞれの目線の違いから、各々の心境の異なる点が細やかに描かれています。
二人の目に映るものから浮かび上がるエピソードがまた素敵です。

一組のカップルの、甘い一時を描いていて、彼女の愛情がストレートに示されています。
ただ、それだけに留まらない一ひねりがとても上手くて、私ははらはらしながら一気に読み終えました。

主人公とおばちゃんは、朝のバス停であって、飴を貰って、少しお話しする、ただそれだけの関係だと言ってしまえばそうですが、そこから物語が広がっていく様子がとても素晴らしかったです。 ち…続きを読む

カップル同士の会話やちょっとした仕草が、とても愛くるしい作品でした。
風景描写も綺麗で、雨の日が楽しくなります。

思わぬ出会いから、主人公の心境が変化していく様子が、とても丁寧に描かれていました。 終盤から、百八十度展開が変わります。 驚きと同時に、納得も出来て、最後の一文と章題に、心がじんわ…続きを読む

リアルとか生々しいとかではなく、ノンフィクションを読んでいるような気持ちで読み進めていきました。 所々で、自分自身の子供の頃も思い出してしまい、クラスメイトにあの子がいたように思え…続きを読む

梅雨に飽きた主人公の少女に、おばあちゃんが特製のレモンスカッシュを作ってくれます。 シンプルな物語の中に、暗い気分を変えるアイディアが描かれていて、爽やかな読後感が素敵です。 タイ…続きを読む

目次だけでも、作者さんの言葉遊びの楽しさや凄さは表れています。 文中も遊び心で溢れていて、様々な変換術が、ユニークで面白いです。 物語の軸はしっかり通しているので、これからどうなる…続きを読む

彼女の思い出話の真相を主人公が推理するというのが物語の中心ですが、終盤で予想外の方向に転がっていきます。 短い台詞の応酬と、独特の表現が光る地の文により、緊迫感のある一作だと思いま…続きを読む

さらりとした言葉で、「私」の人生のきっかけとなった出来事を描いています。人の優しさを、しみじみと感じさせられました。
短い文ですが構成が見事で、最後の二文が特に胸に響きました。

高校生になった幼馴染の二人の関係が、少し変化するような瞬間を描いています。 雨の中の、一本の傘の出来事なのに、とてもドキドキしてしまいました。 彼女が主人公に送った言葉の意味を考え…続きを読む

文章がユーモラスで、結構酷い状況なのに、笑っていまいそうになりながら、序盤は読みました。 途中に出会うおばちゃんのセリフがとても優しく、こちらまでほだされてしまいます。 さりげない…続きを読む

一行目からやられました。そして、千文字以内でここまで描くことが出来るなんてと、驚いてしまいました。 最初から最後まで素晴らしいです。そして何より、この物語が、実際にどこかで起きてい…続きを読む

女の子とカエルとの、優しい言葉のやり取りがとても可愛らしいです。
大人が忘れてかけていた、素直さや相手を思いやる優しさを描いた作品です。子供にも大人にも読んでほしいと思いました。

心情を中心に描いた文で、ちょっとしたことで気持ちが変わっていく様子が良く伝わり、そこがまた強く共感できます。 暗くなりがちな雨を、どうやって楽しんでいこうと考えることは、色んな事に…続きを読む

不機嫌な女子学生にかける、友人の男子学生からの言葉が一つ一つが、ぐっときます。 心理描写も細かくて迫力があり、前半の主人公の苛つきからの変化が、私にも素直に伝わり、心がほぐれていく…続きを読む

細やかな描写から、雨の町の情景、それを眺めている主人公の心情が浮かび上がっていきます。 暗い気持ちで煙草をふかす主人公が、ある瞬間から段々と前向きになっていく様子がまた素晴らしく、…続きを読む

メルヘンチックで、とても幸せな気持ちになる童話です。 キャンディを生み出す手順を細やかに描いていて、さっと差し込む一言にもセンスを感じました。 読んだ後に、妖精たちのことを想像して…続きを読む

一人称視点を上手く使った文章だと思います。
少し幼く感じる語り口だからこそ、ストレートに心情が伝わってきました。

会話中心の、短いやり取りですが、そこで二人の関係性を垣間見ることが出来ます。
可笑しみとシリアスさとの均衡が丁度良くて、何気ないセリフに心がほどけるような、心地よい読後感でした。

何でもないような一人称の、こちらへ語り掛けてくるような文章が、一気に変わってしまう構成がただただ上手で、唸ってしまいました。 語りの最後までどうなるのか分からない、はらはらさせる構…続きを読む

序文の表現方法から異彩を放っていて、一気に引き込まれます。
短いながら綺麗にまとまっていて、平和で幸福な日常が、一瞬乱される状況を上手く描いているなと思いました。

一つの事件にとある怪奇が絡んでいるのですが、不思議な話で終わらない点が魅力的です。 人の心の複雑さも描き、読んでいる途中で何度もぞわりとしてきました。特にラストの一文は秀逸です。 …続きを読む

物語が、単純な方向に転がらないのに引き込まれて、これからどうなるかはらはらしながら読み進めました。 主人公と講師の関係は、美しくも儚くもあり、胸が締め付けられるような気持ちになりま…続きを読む

庭の薔薇の品種の説明がとても詳しくて、そこにとても強いこだわりを感じました。薔薇以外にも、細かく調度品や紅茶などの小道具にもしっかりと説明されていて、それらにこだわる主人公像が浮か…続きを読む

何かを示しているのか、それともただのイメージの断片なのか、不思議な夢が連続して現れていきます。 その支離滅裂さが、本当の夢のように感じました。 誰かの夢と心を見てしまい、言葉遊びに…続きを読む

物語の世界を形作るための言葉選びが、分かりやすく、とても美しくなるようにと行われていることが一目でわかる作品です。 端的な言葉でも、登場人物の気持ちが真っ直ぐに伝わるセリフも素晴ら…続きを読む