美しいものは、なぜこんなにも壊れやすいのだろう。わずかな亀裂が、わずかな思い違いが、ほんの1ミリの筆のズレが、その美しさを決める。あまりに繊細過ぎるものゆえに、人は美しさに惹きつけられる。しかしあまりに完璧過ぎるものゆえに、人はわずかな瑕疵すらも恐れるのだ。
物語が、単純な方向に転がらないのに引き込まれて、これからどうなるかはらはらしながら読み進めました。主人公と講師の関係は、美しくも儚くもあり、胸が締め付けられるような気持ちになります。最終回の最後の一文は、溜息が出るほど完璧なものでした。