ちょっとした仕草やセリフにも、二人の心情が深く描き込まれていて、非常に読みごたえを感じました。少し切なくも、尾を引かないラストがとても爽やかで、私も心の底から幸福な気持ちになれました。
これからの季節にぴったりのショートストーリー。“冷やし飴”が良いアクセントになっています。甘いのに、どこか切ない恋物語です。
この作品は『飴と傘』の続編となります。主人公の心に傘を差してくれた、飴細工師の彼。ようやく出会えた彼は、彼女に告げる。「俺……」彼の覚悟に、彼女は応じる。自分が背中を押してもらったように。今度は彼女が……。
『飴と傘』の続編。悲しみを癒してくれた彼との再会を待ちわびる女性。もう会えないのかな。そんなとき……一瞬の出会いと別れの美しさが印象的です。
心の中の雨が止みますように。開いた傘の形のべっこう飴を作ってくれた飴売りの青年に、また一目会いたくて訪れる公園。やっと見かけた彼に思いきって声をかけると、今度は見慣れないものを手渡される。一期一会。名前も知らない相手の未来の幸運を祈る。ぎこちない遣り取りの中に込められた様々な思いが、漣のように読者の心も揺らします。