一話目から心がざわつく。読み進めていくうちに予感が確信に変わる。最終話の一つ前の話で、作者の考える終わりが明らかにされる。とても良い作品でした。一点だけ、中学生だと明らかにされるのがほとんどラストなのですが、一話目から明らかになっていると物語に一層集中しやすくなります。中間テストの描写や給食と弁当で、小学校ではないのかな、中学かな、と考えながら読んでしまいました。読み落としだったらすみません。
歪んではいる。けれども子どもにこんな思想を植え付けてしまうような生々しい現実というのが、確かにあるのだ。
大人目線で見れば、この子が何らかの問題を抱えていることは、すぐにわかるだろう。だが、同級生の目で見れば、なんとも不思議な子で、まるで異世界から迷い込んできたような存在だ。考え方も行動も、全て、同じくくりに属さない。異邦人だ。現実に引き戻された結末は、何とも悲しいが……こういう子は確かにいたな、と考えさせられます。
リアルとか生々しいとかではなく、ノンフィクションを読んでいるような気持ちで読み進めていきました。所々で、自分自身の子供の頃も思い出してしまい、クラスメイトにあの子がいたように思えてきました。自分が当たり前だと、信じていたものが揺らいでしまうような、力強い作品です。
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