文章が綺麗に、編みこむように紡がれていく物語です。青春時代と社会人である現在が交差し、主人公はどうなるのだろうと思いつつ、実は誰にでもある悩みなのかもしれません。綺麗な文章の中にほろ苦さがあります。主人公のような人、たくさんいるのではないでしょうか。かくいう私も共感しております。
等身大の人をあくまで描いているけれど、表現がぎゅっと一文に詰まっていて、ささやかな日常でもドラマを見ているような感覚になる。自分が登場人物だったら。自分がもしこの世界にいたとしたら。物語の世界が自分のひどく近くにあるような、そんな気分にさせてくれる小説でした。
登理と書いてのぼりと読むわたし。日々を過ごすわたしのその一つ一つが、言葉の輪郭を得ることでこんなに鮮明な文章に、そして惹きつけられる語りになるものなのかと驚きました。自分の語彙じゃ伝わりきれないことがもどかしいですが、タグに純文学と書いてありますが、尻込むなかれ。きっと目を奪われることと思います。物語はまだ変化の途中。ぜひ一緒に読んで感じてみてほしいです(^^)
これは、26歳のある一人の女性の物語です。少なくとも、今はまだ。先が読めないと言うより、どうなっちゃうんだろうこの子は、みたいな目の離せなさと言うべきかもしれません。どうやらまだ、彼女の物語は始まったばかりのようです。一読者の勝手な言い分ではありますが、彼女には幸せになって欲しいと願いながら、この先の展開を見守っていこうと思います。