伊島糸雨

23世紀。人口爆発に対処できなくなった人類は、効率的な食料供給を追い求めるあまり、食事という文化を解体した。料理という言葉の意味は、供給される栄養価を調整された無味無臭のキャンバ…

あの女は文字で、数式で、0と1の並んだプログラムだ。 俺はwebサイトを見てる最中に鬱陶しく指を追いかけてくる類のよくある恋愛ゲームの中の登場人物。辺境伯、面と家柄が自信になっ…

不老を研究する研究室の室長と助手は、今日もろくに仕事もせずにダラダラおしゃべりばかりしている。 夏が嫌いな室長は何やら、ずーっと物理エンジンで遊んでいて……

＜殺伐感情戦線 第33回＞お題『祝福』 　自転の止まったこの惑星では、36年間かけて昼と夜が一回りする。常に夕方になるように移動生活をする生活単位「ルッカリー」に暮らすテムダとシ…

まともになりたいか？ ※登場人物が自己判断で投薬を中止する描写がありますが、現実での自己判断での投薬中止を推奨するものではありません。また、作品内で描かれている薬の効果や治験の…

仕事を辞めて“俺”が夜勤スタッフになった安い老人ホームの二〇一号室には、悪魔がいる。 老人は真夜中だけ美しい若者の姿になり、「女の命を吸ってずっと生きてきた」と語る。 ひとりの女…

辺境伯の妻を選ぶパーティのため招かれた館は凶悪な罠が張り巡らされたデスゲームの会場だった！ 未来の夫主催の狂宴に招かれたのは九人の花嫁候補！ 王国近衛兵長に育てられた女傑・シン…

人類が船の上で暮らすようになった世界の話。 失踪したV配信者をあるガチ恋ストーカーが捜索に向かう。 そして政府と革命勢力との戦いに巻き込まれていく。 非常識で好奇心旺盛なガチ恋ス…

「温室」で育てられる少女たち。やがてイニシエーションを受け、「花」たる大人の女性になるべきつぼみたち。 大人になるのは、きっと痛くて、取り返しのつかない喪失を伴う。

天才の友達だった日々のこと。

「夏といえば？　海？　山？　プール？　花火大会？ 夏といえばホラーだろ。 わからないなら教えるしかないな。 俺は禍原だ。 一度しかないお前のこの夏をより良い夏にするために、これ…

親友の胸に花が咲き、彼女は眠り続けている。 彼女を生かすため、私はある決断を迫られることとなった。

窓の向こうに見える別世界の私。

最期に聞こえた、「償え」と–– “キラーズ”––生前、大量殺人を犯した者又は大量死の原因になった者は、死後罪を償うため、ひとつの異能を与えられ様々な世界に転生し続ける存在になる…

僕が片腕のない兄とふたりで暮らすこの谷底の町は、製鉄業で成り立っていて、数百年前から何も変わらないほど穏やかで、時々化け物が紛れ込む。 今年の文化祭にうちの大学の文芸部で配る冊…

とある国で生まれた死人を生き返らせる兵器が漂着したと聞き、調査のため、切り立った崖に囲まれた昼間でも薄暗い海辺の田舎を訪れた学者の口述筆記。陰惨な村人たちの語りは、潮のように渦巻…

「機体が揺れ、もう何度目か数えもしなくなった墜落が始まる。傾く視界も、身体にかかる重力も、警報の音も同じだ。 僕たちの搭乗する333便はエンジンの不調からコントロールを失い、三分…

巨大な龍が上空を周回し続けている世界で、20年ぶりに龍が東京を通過する日。「私」は来るはずがない友人を待つ。「俺」はこんな日に犯罪者になろうとしている。「僕」は曽祖父の猟銃を持っ…

夢をのぞき見できるのだと、あなたは言った。 その日から、私は夢日記をつけることにした。 「きへん」と「くさかんむり」に出会うたび、私は現実を問い直す。

文化と革命と暴動が爆発する60年代の東京。 オリンピック、ジャズ、全共闘、ビートルズ来日、三億円事件。 そして…… 18歳のハスラー出原遊剛は、ヤクザの怒りを買い半殺しに遭う。…

メロスが激怒し暴君ディオニスを暗殺しに行ったと同じ頃合いに、 俺もまた激怒し誰でも良かったのでむしゃくしゃして暴君ディオニスを暗殺しに行くこととなった。 メロスにはセリヌンティウ…

何ぞ騒がしいと思ったら、鴉が鳴いとるんか。私はあの羽音が嫌いでなぁ。 昔この廓に鳥の名のつく遊女がおった。どこにも飛んでも行けんというのにな。 私は鴉よりその羽音より何より、あの…

猫の集会では、毎晩猫によって物語が紡がれていた。ある晩、繧ｨ繧ｴと二匹だけになった蛻ｩ蟾ｱは、数週間にわたって語ってきた「猫と人間の感動物語」を打ち切りにすることを決意する。

※この作品は、『氷海のヴェルヌ』の作者KOUKINGさんに許可を得た上での二次創作です。この作品に関する一切の権利はKOUKINGさんに帰属し、何かあった場合修正や削除する場合が…

企画「『不在の百合』が読みたい」に捧げる

2020年8月に控えた世界の終わりに向けて、各自、3つの世界線のどれかに「進路希望」を出すことになった。 友達になりたいと思っていた相手に、二度と触れられなくなるかもしれない。そ…

There are many Jiangshi in the world of this story, and many people use Kung Fu.

カクヨム2020夏物語コンテストのSF・ミステリー小説部門で特別賞をいただきました。ありがとうございました。 クローンとAI技術を迎えた2020年。 大昔に逝去した文化人の遺伝…

お泊り会をする三人の少女と、彼女たちに見えている世界のお話

女子高に通う少女の身に起きた、バター香るささやかな不思議。 少女は、無気力な家庭教師に謎を持ちかける。

誰よりも恐怖を恐れる少女、七子は、誰よりも恐怖を愛する異常者、正木先輩に取り憑かれている。 七子の目にはこの世のものではないものが見えているが、それらは全て幻覚である。 その夜…

【マッグガーデン様より、コミカライズ版二巻発売中です】 【電撃の新文芸様より、ノベル版二巻発売中です】 3/19　完結しました。 西暦20XX年。 この世界とは異なる現実の実在…

単語生成アプリによって偶然生まれた言葉をお題として書く短編集、もとい断片集です。三題噺みたいなものだと思っていただければ。 短編と呼ぶには少し脈絡のないものが主立っています。 …

物を食べては吐く“私”は、唯一食べたいと思った綺麗な同僚の顔写真を肉に貼って冷蔵庫にしまっていた。それだけのはずだった。いつからか冷蔵庫の中の彼女はキッチンにまで現れて、ありもし…

一八七六年。北極点から突如出現した『氷惨』（アイスバーグ）と呼ばれる半有機生命の侵攻によって、地球の気温は著しく低下し、人類の生存圏は減損していた。各国が同盟し、世界政府（インタ…

【8/25にメディアワークス文庫様から書籍（https://www.kadokawa.co.jp/product/322303000543/）が発売されました。応援本当にありがと…

ある日ゾンビが現れて、パンデミックが起こったけれど、世界は終わってくれなかった。 連綿と続く日常の中、母親がゾンビになっても泣かなかった高校生の「僕」は、罪滅ぼしに「僕」と十…

§:「keteric ominbus」 1:「ラズライト・ダウン」 遠い未来。言語生命体「冠」が地球人類の医療・電子端末を食い破って繁茂し、ヒトは絶滅した。 「冠」への対抗手段…