• マイページ
  • 小説を探す
  • ネクスト
  • 書籍化作品
KADOKAWA Group
  • ログイン
  • 新規登録(無料)
バスルーム・ウェディング・ゾンビ

バスルーム・ウェディング・ゾンビ

木古おうみ

おすすめレビュー

★で称える
★★★
★81
28人が評価しました
本文あり
日付が新しい順

本文ありのおすすめレビュー

  • カムリ
    63件の
    レビューを投稿
    ★★★ Excellent!!!

    風呂場で生まれて海で死ぬ

    浴槽で胎児のように体を折り、死出の度には仮初めのウェディング・ドレスを纏う。
    生き死にのあわいにあるゾンビがそれらをするということは、筆者の「ゾンビ観」(そんなのものある?)を表していると共に、構図の妙をも産み出している。

    この話には、周りの大人が主人公の抱える諸問題にコミットしたり、反対に主人公が周囲の大人の心のくびきを溶かしたり、そういった劇的な展開は特にない。
    ただ他人のような距離感があり、他人事のような会話があり、誰かのために開けられたスペースがある。
    だからこそ最後の奥多の行為が、奇妙な素晴らしさを持って読者の心を揺さぶってくるのだと思う。
    人間はゾンビではない。
    死んだように生きることはできても、生きるように死ぬことはできない。

    • 2019年8月25日 15:33