悪役令嬢言及機関≪ヴィラネス・エンジン≫

作者 木古おうみ

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★★★ Excellent!!!

《悪役令嬢》――近頃創作界隈で取りあげられている、乙女ゲームに登場する定番の敵役(ヴィラン)。異世界転生とならんで定着し、いまとなっては《悪役令嬢》を知らないひとはめったにいない――そもそもこの《悪役令嬢》というものは乙女ゲームに存在しないのだ。
にもかかわらず、当然のように受けいれられ、お決まりの敵役となっている《悪役令嬢》という概念。つまり《悪役令嬢》とは集団幻覚であり、数式であり、文字列である――

これは面白い。あ、作中の言葉を頂くならば、
「面白れー女だぜ」

《悪役令嬢》という造られたプログラムに恋(?)をした《悪役令嬢の幼馴染》というバグの、せつなくて苦い恋愛模様でもあり、悪役令嬢と哲学とをかけあわせたシニカルな思考実験でもあります。「シュレーディンガーの猫」「中国語の部屋」「タイプライターの猿」等々。様々な哲学や思考実験が言葉の裏に組みこまれていて、なるほど、これはあの哲学用語かと深読みして想像するのも楽しいです。それでいて決して小難しいものではなく、あくまでも軽快に、時には自嘲ぎみに綴られています。

わたしには到底この小説の魅力を語りつくせないので、後はとにかく、読んでくださいとだけ!
そうして可能であれば、あなたが悪徳令嬢にまつわるバグをどのように訳したのか、教えてください。そうすることで、彼らのゼロとゼロのあいだに「1」が生まれる可能性もできるはずですから――