新作を投稿できないまま時ばかりが過ぎてゆき、もうしわけない気分が日々積み重なってゆくつらい時を過ごしていたのですが。
ここ数日、本編を読んでくださる方が増えたことで、あらためて自分でも読み直しまして。
「ぐうたら剣姫行」本編、最終第300話に関して……。
「小説家になろう」様に投稿した後、「実はローツ村に『ぼろぼろさん』がいた当時の子供がひとりまだ生き残っていた」ということを思いついて、その視点と、旅立つ二人への祝福をこめたシーンを、あとに投稿したこちらカクヨム様の版では追加していたのですが。
自分でも初読者のような心地で読み直してみると。
「ふたつの影がひとつになった」後に、どんないいものであっても、『最後の七行』の前に混ぜこむのは無粋だな、と感じてしまいまして。
投稿当時からかすかに引っかかっていたことでもありまして。
まさに「推敲」の元ネタのように、あるいは「蛇足」のように、二年以上も延々と心のどこかで気にし続けていたことでもありまして。
いま、決めました。
執筆から、投稿から、年単位を経て……その当時読んでくださった方々には本当に申し訳ないのですが。
こちら、カクヨム版でも、「なろう」版と同じようにすることにしました。
「あの時」の子供のひとりが「おばあ」になって思い返す「ぼろぼろさん」の追憶は、こちらに書きこむのみとさせていただきます。
ご存じない方は、300話末尾
「甘やかな風の中で、ふたつの影は、ひとつになった。」
の後に、修正前はこれが入っていたということをご承知くださいますよう。
「…………ん?」
「おばあ、どうした? 痛いのか?」
「いや……そうじゃないよ……ありがとね…………だけど………………ああ」
「なに? あっち? なんもないけど?」
「昔ね……あたしがお前くらいの頃にね……村に、ぼろぼろさんって、変わったひとがいてね…………ああ、思い出したよ。あたしたち子供にしか見えてなくってね。村長さんは見えてたのかな。生きてるのはもうあたしだけだからねえ……そのひとは、村の中をうろうろしててね。いっつもぼろぼろかぶってて、誰も中の顔は知らないんだけどさ……あたしもだよ……」
「それって、本当に《《ひと》》なの?」
「さあねえ。とにかくそれが、今、久しぶりに見えたような気がしてねえ」
「え!? どこ? どこ? どんなの?」
「がんばんな。もしかしたら見えるかもしれないよ」
しわだらけの老婆は、温かな風を浴びつつゆったりと微笑んだ。
(なつかしいねえ。
ぼろぼろさん。昔、うちのおばあに、お薬、ありがとうね。
あの頃は、冬も、春になっても、いつもひとりきりだったけど……さびしくないのかな、って思ってたんだけど…………さっきは、ふたりだったね。
いっしょにいる相手ができたんだね。よかったねえ)