• 異世界ファンタジー

「ぐうたら剣姫行」294、295話

第294話「結婚前夜」に続いて、同じ日のうちに第295話「剣聖の帰還」を投稿いたしました。

これは、今月30日に最終話を投稿しようという狙いがあり順当に毎日投稿でもぴったり終わるのですが、その前に少しだけ間を空けた方がいいと判断してのことです。
作者のわがままではありますが、第二の最終回と言っていい296話から、すぐ後日談的な297話以降に続けるのは避けたいと思ったのです。296話はそういう内容です。


それはともかく、294話295話の解説。

ついにフィンがカルナリアのもとへやってきました。
とにかくもう締まらない。格好つかない。国が落ちついたと見たからでもカルナリアが頼りがいのある女王になったからでも何でもなく、なんかまずくなったから面倒見てくれと押しかけてきた。しかもちょっと格好いいところを見せて現れようと思っていたのにそれも果たせず、ゴタゴタのあげくの成り行きで。
馬車からついに現れた時、姿勢は良く見た目は美しく台詞は格好つけて、カルナリアだけは目がハートですが、実際はこの通りひどいものでレンカなどかなりあきれた目で見てました。

……最初は、もっと劇的に再会させるつもりだったのですけどね……「剣聖の弟子」回のように、カルナリアのピンチを助けに参上、というパターンで。
初期プロットでは、「まだ落ちつかない国内各地を視察するために移動中のカルナリアを刺客が襲う。事前の警戒もくぐり抜け土の中に埋まって何日も待ち続けていたとんでもない忍びと、その襲撃にタイミングを合わせ超遠方から『流星』で飛びこんでくる忍びの連続攻撃で護衛騎士たちも虚を突かれた。だがカルナリアが危ういところを横合いからの斬撃で何もかも切り裂かれた。ぼろ布登場。」となっていて、斬った忍びの顔がどことなく「1」ことグレンに似ていたもしかすると息子だったのかもしれない……というものでした。
しかしそれを作った時はグライル編は今のようなものではなく「案内人」たちなどおらず、実際に書いていくとフィンとの関係をはじめ様々な設定がまったく違うものとなってしまいました。
それに「剣聖の弟子」で窮地を救うパターンをやってしまったもので、ほとんど同じでは芸がないとも考えてしまいました。
それで色々考えた結果が、295話です。

別れの時のカルナリアが大激怒したもので、あれがなかった扱いでいつも通りに現れるというのは違うなあと。
大激怒されたことを踏まえると……敵ならどんな相手でも斬れる剣聖も、避けよう逃げよう怒られる怖いガクガクブルブルとなる方が「それらしい」かなと。

その結果、渋り、逃げようとすらして、色々わかってるレンカがあきれながらも引っ張ってくる感じでの、だらしない再会となりました。
とにかく最小限の行動で最大の利益を得ようとするぐうたら者の、自業自得、やったことの責任を取る時が来ました。年貢の納め時です。
それでも待ちに待っていたカルナリアにとっては最高の喜び。人生が一気に輝かしいものに。喜んでもらえてフィンも一安心。
……本当に?
待て次回、というやつです。



そして解説。
ここへ来ての新キャラ二人。

グライルの旅を通じてフィンにも変化があり、レンカ以外にも「自分の代わりにある程度戦ってくれる者」や「腕のいい魔導師」がいると楽ができると思うようになって、うろうろしている間に巡り会った相手と連れ立つようになったのでした。

棒女こと女戦士カナンは、頭は残念ですが腕は確かで「剣聖と戦いたければまず私を倒してからにしろ!」をやって大半の雑魚を片づけてくれます。フィンにとって実にありがたい露払いです。めちゃくちゃ強い彼女を何とか倒せたとしても、次に出てくるのがやり口を全部観察し終えた剣聖。敵にとっては嫌すぎる二段構えとなりました。

魔導師のマリエは、火水風土の四神を象徴した髪をしていて、それぞれの神の力をある程度借りることができる怪物です。ちなみに髪はきっちり四分割して塗り分けている、パンクとかファンキーとかそっちの方。ファラがうちの子に悪影響がと心配するのは当然です。ルーマンゴールでも並ぶ者のいない天才で、しかし若い女性ということもあって色々あって故郷から出てきました。魔法技術ならルーマの方が進んでいるからカラントでは無双できるだろう、実際に親衛騎士でも抵抗できずに簡単に眠らせることが出来たしと自信満々に馬車から出てきましたが、目の前にいたのがファラ。自分以上に濃厚な神の世界の気配を漂わせている「ありえない存在」でした。その瞬間この遅れた国をひそかに支配してやろうという野望は頓挫しました。以後はむしろファラと組んで色々やらかすことに。

この二人は、自分がかつて書いた(未発表、未完)小説の登場人物から引っ張ってきたキャラです。
カルナリアのところに来る前に暗躍するフィン、ということを考えた際に、お供がレンカだけだと寂しいなと思って、そちらはそちらで色々やって仲間を増やすのはあり得るなと登場させました。

……その結果、王として日々苦労し、私生活ではとにかく寂しい思いをかかえつつ宮殿にこもるカルナリアをよそに、面白い仲間たちとあちこち旅するフィンという状態に。

さあ、そのことを知ったカルナリアの反応はいかに。

ついに残り5話です。
来週まで、最後のおつきあいお願いいたします。

(ここに色々書いたことを元に、外伝や後日談や派生作品なんかがぞろぞろ浮かんではいるのでそちらはまた……)

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