第268話「されたこと」を投稿いたしました。前話「起きたこと」を含めて、提示されるべき隠し事はほぼ全て明らかになりました。後はフィンの隠し事のみです。
タランドンでのレンカの行動もわかりました。
精神をフィンに殺されていました。
殺そうとしたのだから殺された。そういう世界の住人たちのひとつの結末です。フィンはもちろんやられたレンカの方もそのこと自体は何とも思っていません。
しかし、天才であり忍びの訓練を受けてきたとはいえ、実年齢はまだまだ幼いもので、実体験に乏しいところが多々あります。特に性欲関連は完全な未経験。知識はたっぷり与えられていましたし見聞きもしていますが、自分自身の感覚として抱いたことがありませんでした。
そこに殺気と殺意、死というものが叩きつけられ、それをきっかけにして目覚めてしまったのです。これはフィンも完全な予想外のことでした。湖畔の村でフィンがレンカを連れ出し徹底的に揉みほぐしたのは、このままだと殺意を向けてもらうためにレンカがカルナリアを害しかねないと危ぶんだからです。ドロドロの恋愛ものであるやつですね「こうすればあなたは私を見てくれるでしょう!?」と憎まれることをやる横恋慕キャラ、みたいな。カルナリアは当然まったく気づいていませんでしたが。
そういう相手だったレンカを、カルナリアは友と認定しました。王女として生まれ育った彼女には初めての、対等な友人です。
自分を殺そうとしていた相手で、自分が好きになった相手によって殺され下僕にされていて、でもそういう相手のことを大事なともだちと思うように……なんという奇縁というか複雑怪奇というか。
レンカは、この物語を思いつくよりずっと前、フィン・シャンドレンというキャラを思いつき色々書いた中で、フィンの仲間のひとり、フィンのことをお姉さまと慕うちびっ子キャラとして作ったキャラでした。
このぐうたら剣姫行を書くにあたって昔のネタ帳から何人か引っ張り出してきた、その中のひとりです。まさか両性具有の殺し屋になり、主人公の友人ポジションになるとは思ってもいませんでしたが。
彼女であり彼であるレンカと、これから先どうなるのか。
……先のネタバラシですが、レンカとの縁は想像以上に長く続きます。レンカの首が飛ぶようなことは少なくともこの物語においては起きませんのでご安心ください。