第273話「最後の真相」を投稿いたしました。
76話、タランドンのラーバイ、特別室で『夜の姫』と遭遇し、唯一の一騎討ちに挑んだもののかなうはずもなくあっさり食べられる寸前に到ったカルナリア。
気絶していなければ、間違いなく王女は本当の奴隷に堕ちていたことでしょう。絶対にご主人様に逆らえない、そのことが嬉しくてたまらない、調教済み状態に。
運良く(?)そうならずにすんだのですが、では実際に何が起きていたのか。
カルナリアが浴室で桃色のモヤにやられ、悶え、耐えている間に、「発情したフィン襲来」→「オティリーやマルガたち食い散らかされる」→「レンカたち五人到着、扉の向こうで準備」という順番。
ちなみに75話を読み返していただくとわかりますが、カルナリアは耐えるために浴槽に頭から浸かるという真似をしており、裏設定ですがフィンが襲来してきたのはまさにその瞬間でした。なので異様な気配や声には気づけず。その後はもうオティリーたちは下僕になっているので激しい物音は聞こえません。多少くちゅくちゅ、ちゅぱちゅぱという粘着音とかくぐもったうめき声、達した悲鳴などが聞こえてきても、その当時のカルナリアには何の音か識別できませんでした。
そして「浴室から出たカルナリア、『夜の姫』に食われかけ気絶」→「扉が開いて襲撃、男たち自滅」→「カルナリア、ギリアにさらわれる」、となっていったのでした。
あの頃のカルナリアはまだお姫様で、異常な光景を前に周囲を冷静に確認するなどとてもとても。グライルで鍛えられた今のカルナリアなら、ベッドの上の剣や、場合によっては畳まれまとめられたフィンの衣服にも一瞬で気づいていたでしょう。環境とは人を大きく育てるものです。……その方向に育っていいのか王女いや女王陛下とも思いますが。
ちなみにカルナリアを奪われた後のフィンの行動。
レンカにも逃げられた後、剣を収めて血に濡れた薄い布を脱ぎ、自分の服を着て、倒れていたオティリーたちを介抱(めんどくさいことではありますが自分がつまみ食いした相手なので)。マルガが血の臭いで目を覚まして、忍び組『台』の一員であることをフィンに明かし、動ける仲間を集めて連絡と情報収集。
火災が発生し「人魚楼」にも火が迫っていたので、フィンは外に出て周囲の建物を切り刻んで延焼を防ぎ続け、どうにか人々が正気を取り戻し避難を終えたところで一休み、マルガの伝手で『台』のトップに面会……という流れでした。
カルナリアを奪われた上に忙しく働かされて、さらっていった連中に対して激怒しました。ひとつ間違えれば97話の老人たちの危惧通り、本当にタランドン城に殴りこみをかけていたかもしれませんでした。古い巨城に、忍びこんできて見た者を皆斬り殺してしまう影という怪談がひとつ追加ということに。
グライルに入りセルイたちと再会した際に、姿を見るなり殺気全開になったのはその怒りもあってのことでした。
残る謎はあとわずか。
全300話、カクヨム様への投稿開始が9月30日でしたので、きりのいい3月30日を最終話投稿日にしたいと考えています。