時おり耳にする「物語にリアルは必要ない」という主張。そう話す人たちのほとんどは、リアルという言葉を「現実世界と同じであること」と捉えているようです。
逆に「リアルは必要」と訴える人の多くは、「物語世界のルールの中での現実味」という意味で意見を述べているだけなのですが、まあそれはさておき。
フィクションなら、魔法や怪物といった実在しないものが登場するのはまったく問題ありません。それに反対する人はおそらくいないはず。
ただし、心はどうでしょうか? こちらはどうやら、現実の人間と違ってしまうと大きな失敗を招く結果になりそうです。失敗とは、すなわち「共感の欠如」。人として当然の感情や理性を共有できなければ、読み手は感情移入などできません。
性格の違いや程度の差はあっても、感情にはお決まりの基本パターンが存在します。どんなことに対して喜怒哀楽が生じるか、人である限りそこに極端なズレはないのです。
ただ最近は「いかに他と違う要素を見つけるか」だけに固執する作者や出版関係者が増えたため、心までもが人であることを逸脱した作品が多く見られます。いうなれば、人間らしさのない人形や機械のようなキャラ。
もちろん極悪人や異常者をそれとして表現するのなら問題ないのですが、それが正常な精神のキャラ、例えば優しく正義感のある常識人のように扱われてしまっている。精神が分裂した二重人格者だというのなら、まだわかる気もしますけどね。
なぜこんなことになるのか? 答えは簡単。これまで誰もが「人としてやるべきでない」と認識していた領域を侵せば、それは一見すると新しい要素になるからです。目立つためなら何でもやる。こういう低俗で心ない風潮は、ネット依存者を中心に広がりを見せています。本人たちは型破りのつもりでも、世間から見ればただの常識外れ。かつてないキャラを追い求めるあまり、常識や良識さえも見失っているのでしょう。
そこで、この企画では「キャラが人間らしく描かれている物語」を募集します。エッセイや創作論などの参加はご遠慮ください。本棚企画ですので、読む読まないはご自由に。
参加する小説の設定画面で、自主企画欄にある「キャラが人間らしく描かれている物語」を選択してください。
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★724 異世界ファンタジー 完結済 241話 541,124文字 2022年11月10日 18:32 更新
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