むかしむかしあるところに────
童話のようなプロローグから一転、突然暴力が溢れる世界に放り出されます。
温度差が激し過ぎて三回ぐらいプロローグと一話目を行ったり来たりしました。
何が何だかわからず目を回しているうちに、オセロさんの超人的なバトルが始まります。出てくる敵も個性的な連中ばかり。
そんな世界で、身体にある秘密を抱えるルルーちゃんはとても無力です。
頭は良いけれど、まだ子供だからとても非力。生き抜くために必死です。
戦闘狂なオセロさんと、非力だけどしたたかなルルーちゃん。彼らがどんな人なのかが少し理解できた時には、この作品の虜になっていました。
個人的には、腐れ縁のタクヤンさんがとても好きです。癒しキャラです。
憎めないんですよねえ。なんだかんだで美味しいところは持っていってる気がしました。そこが好きです。
ルルーがオセロと旅をする物語です。
舞台は世界に見放されたアウトロー。
奴隷、窃盗、抗争、麻薬と何でもありな『デフォルトランド』。
ある莫大な価値を背に立ち回る奴隷少女ルルーとすんごい強い鉄棒使いのオセロ。
二人が進む旅路は一手間違えれば地獄に落ちる茨の道。
そんな道中、ほっこりとする二人のやりとりが心をくすぐります。
お話の得意なルルーと化け物みたいに強いけどどこか人懐っこいオセロ。
そんな二人の前に立ち塞がるのは、過酷危険なデフォルトランドの闇。
その住人はみんな生き抜くために、とっても必死なのです。
壁ドンを極めた男、全裸ヌンチャク、海老男、発酵食に人生を賭けた国食い、頭の上から猿をどかそうとしないハゲ、糸使いの巨人、看板使い、真っ黒黒助、毒使いの男の娘、長ーーーい槍使い、燃える老剣士、灰皿マスター、麻薬ジャンキー、ラーメン仙人、ハイパーエンチャント魔法少女服の歴戦無敵な屈強おじさん、エージェントタクヤン、and more......
他では絶対に見られない奇抜な戦闘が楽しめます。
作者様のセンスが満ち溢れていますよ。
そんな、何をどう間違ったらそんな風に落ち着くのか分からないデフォルトランドの変態たちは、それでも命がけで生き抜くために至った結果。
一人一人に必ずドラマがある物語。
「やってる本人たちは大真面目」タグに偽り無し。
これは、重厚に広がった、生きているストーリー。
大人びていてもやっぱり子どもなルルーと強い奴を見つけるとわくわくしちゃうオセロ。
そんな二人。
これは、狭い世界に閉じ籠っていたルルーが、オセロと一緒に世界を歩むストーリー。