魔法師学校に通うグレアムと婚約者であるジュディス。真面目なグレアムとは対照的にジュディスは怠けがち。そんなジュディスに不満を募らせていたグレアムは、ある日ロージーという少女と出会います。そしてグレアムはロージーと接近していくのですが──。
ここまでのあらすじだと、単なる三角関係に見えますが、この作者様のすごいところはそこからの怒涛の展開です。それぞれの人間模様が交差していく様に目を離せません。
そして、作者様の筆力。重厚な文章でありながらも無駄がないので、最後までワクワクドキドキしながら更新を楽しみにしていました。そのくらい面白いです。
読み手の方にはもちろんですが、書き手の方にもオススメです。物語の構成、文章力、語彙、全てにおいて勉強になること間違いありません。
是非ともご一読ください。
主人公の青年には婚約者がいた。しかし、二人の仲は公然なのに、しっくり来ていなかった。そんな中、学校で主人公は後輩に魔法指導をすることになるが、その二人の親密さと、後輩の出自が問題となり、二人の仲はますます気まずくなる。学校でも責められる日々が続き、主人公は婚約を解消し、逃げるように森の砦の戦力として戦地に赴く。この時主人公は使い魔候補として、一匹のある生き物を連れて行くのだが……。
一方の婚約者は猫の姿になることで、自分の魔力を制御することを覚えつつあった。そんな中、美しい彼女には引く手数多で、側室の話しも舞い込む。しかし忌まわしい過去の記憶を取り戻した彼女は、手紙を残して家出をしてしまう。
主人公の寄宿舎では、水の精霊が噂になっていたが、主人公はそれに心を動かされなかった。しかし、森で大規模な「氾濫」が起き、主人公は危機に瀕する。そんな主人公を助けたのは、噂の水の精霊だった。一命を取り止めた主人公は、婚約者に、もう一度会う決意を固める。しかし、そこには――。
文章のはずなのに、気高く香り立つものを感じた一作でした。
情報過多になりがちな描写と、人間関係が程よく描かれ、
これほど長文なのに、中だるみも、飽きることも、一切ありませんでした。
ビロードのような質感で、ラストも最高でした。
是非、是非、御一読下さい!