一人の少女を中心に語られる、戦争の物語です。
どういう理由で紛争状態に至ったのか、どこで歯車が狂ってしまったのか、それすら分からぬままに祖国を追われ、地獄の様な逃避行を続ける避難民たち。穏やかだった生活が、少しずつ少しずつ狂気に蝕まれて行く有様は、恐怖以外の何物でもありません。
そして受け入れざるを得ない生きる為のギリギリの戦闘、血と火薬の匂いが漂って来そうな、人々の悲鳴が聞こえて来そうな、そんな錯覚すら覚えます。それほどに悲惨な状況を描写しつつも、その語り口はあくまで穏やか、静謐さすら感じさせる冷静な筆致で、物語が綴られて行きます。
読み易く、興味深く、そして深く考えさせられる、そんな物語です。
一読の価値ある逸品です。
(85話までを読んだ感想です)