「一本だけ」を含む小説

　みんなに訊きたい。　なにか分かったかな。 わたしはいまだになんにも分からない。 分かった気がますます、しなくなる一方である。 この歳である わたしもそれなりの知識見聞は得ている…

秋の三連休のことだった。 明彦と弟の航太は、祖母の家に遊びに行った。 従弟妹や、地元の友達もいて、二人はよく遊びに行っていたのだ。 今まで行ったことのない場所には、すすき野原が広…

過去を振り返れる人間は、決まって幸せな思い出を持っている。 濁った眼で見えるのは偏見の塊でしかない。思い出と呼ぶには冷たい、小さな記憶のかけらしか持たない私には、それ以上のものが…

繁華街の裏通り、一本入ったその先にひっそり佇む小料理屋「茶釜」は、なんだかちょっぴり変わったところ。 何が起こるわけでもないけれど、帰り道には心が少し軽くなる。そんなお店のおはな…

15歳で、両親と妹を突然の火事で失った、レスター・アレイルはヴァーレンの黒の魔導士たちの秘密結社、『緋の杜』に連れて来られた。 妖刀のムネヒラを一本持って。後は着の身着のままだっ…

●昔ばなし『わらしべ長者』あらすじ ある貧しい男が運の好転を観音さまに祈る。 観音さまのお告げ「これから初めて手にした物を大切にして西へ行け」 お堂を出ると転んだ拍子に一本のわら…

　あなたは「ネギ女」のことを知っていますか？　 　最近ネットで話題の、こわーい都市伝説のことです。 　正直自分には、縁もゆかりもない話だと思いこんでいました。 　でも、私はある日…

僕は死ぬつもりで山奥にきた。そこに突然あらわれた裂け目！　裂け目に張られた一本のロープの上で、僕は綱渡りする事に…… 原口 モ と申します。 『ロープ』どうぞよろしくお願いしま…

男は事故によって家族を失い、一年経った今でもそれを引きずっていた。声が聞きたい。男は一本の電話をかけることにした。繋がらないはずの電話。そこから聞こえてきたのは、死んだはずの妻の…

創作お題スロットさんで出たお題で毎日一本書こうチャレンジでしたが毎日はしんどいので週一で再開したいなあと思っています。 習作ですのでお目汚し失礼致します。楽しんでいただけると幸い…

しろた一本向け小説。 荒ぶる神を沈めたり、怪しげな眼鏡の内心が本邦初公開されたり、褐色銀髪人外ねーちゃんの秘密がちょっと分かったりする。

元々はtumblrなどで書いていた日本の古い武術関係の雑文の転載や改定版でしたが、日本の古い武術に関係する色々をジャンル気にせず書き綴っています。 （第9回以降回数表示を消しまし…

極道の兄貴(巨漢)と舎弟(巨漢)のお話

――Project NO.6 小説企画作品―― パチンコで全財産をスッてしまった青年、高野八千は、路地裏で最後の一本に火を点けた。溜息を吐いた時、京都の夜に男の声が響き渡る。「そ…

本来、人間は雑食だ。 肉も食べるし、野菜も食べる。 穀物も食べるし、果物も食べる。 そこに、肉断ちを始める新人類が現れた。 彼らは偏り始めたバランスを、サプリメントや他の食材で…

何の物音もしない暗闇の中、僕をそっとまぶたを閉じる。 僕のまぶたの裏に映し出されたのは、一本の満開の桜の木。 その周りには何もない。 僕は、散りゆく桜の木をただ見つめていた――…

〔あらすじ〕 頭脳明晰で運動神経も抜群な男子高校生「神薙旭」(主人公)は財閥の御曹司でもあり、厳しくも恵まれた毎日を過ごしていた。 　ところが、ある日旭の父・総一郎が心臓発作で急…

【第一部】 　現代の日本で妖は知識として残され、娯楽商品としての進化も遂げている。 　しかし、妖も人間の文明と共に進化し、人に姿は見えずとも、紛れるように暮らしていた。 　そして…

　麻薬中毒で少年院送致となり、退院してきた菜々子は、最初はそれを暴露されるのを恐れる、地獄の毎日を送っていた。 　しかし、地獄に垂らされた一本の糸のような周りの人々の理解のお陰で…