発我大根

待ってました！　一年半前から

当時はまだ、カクヨム様登録すぐのことでレビューの仕方も分からなかったものですが、今度こそきちんとこの物語の面白さをお伝えします

自我に目覚めた大根が、肉の代わりに食べられてなるものかと旅立ちます

道連れに「畑のお肉」お豆を引き連れて

そして今回は、な、な、なんと！
第一話でレジ袋の中に入っていた仲間たちが！

愉快な（笑）道中、本人たちはいたって真面目

さて、この行く末や如何に？

「残虐」は確かに野菜たちからの目線、軽妙洒脱な文章に、ウィットに富んだ笑いも散りばめられて、大根たちの道中をハラハラしながら見守れます

　この作品は約２年前に読ませていただきました。そのころの印象はあまり私のセンスに合わない作品だという印象でした。
　しかし、私の周りのフォロワー（じつは新潮社のファンタジー作家、武石勝義氏もそうです）が強く推していたので印象に残っています。当時は現在のように短編一つ一つに細やかなレビューをする企画はありませんでしたし、カクヨムSF研に投稿された小説を実力ある作家たちが各々が勝手に読むという形でした。
　カクヨムSF研のメンバーたちが開催期間を過ぎて、もし最優秀賞を決めるのであれば、この作品だと思うと皆が口を揃えて言っていたので、思い出したところです。
　作者の古博かん様には二年越しではありま…続きを読む

ナンセンスとイタズラでいっぱいです。

　大根が自我を持ったのは何故なのか？　彼の知性の行き着く先と未来は何処なのか？　本来ならばそのような疑問もあってしかるべきなのですが、パワフルな文体で野菜たちを取り巻く不穏な未来が示されており、すんなりと物語の世界観に入り込む事が出来ました。

　私たちの冷蔵庫の野菜たちも何か考えているかもしれない……彼らの思いが届くのではないか？　そんな気分になる作品です。

『発我大根』というタイトルがもう優勝ですが、大根の目線から見る世界の巧みさがまたすごい。世界を異化する手法がユニークでありながら、どこか皮肉が効いているところも素敵です。

残酷な世界で大根はいかにして生きるのか。小さな野菜による大きなスケールのSFを貴方へ。

まず、一本の大根が自我を持つというところに驚きました。そして思わず笑ってしまうような大根の言動。これから自身に訪れる脅威にどのように彼は立ち向かうのか。不思議な世界観に時間を忘れて浸ることができる面白い作品だと思います。ぜひまだ読んでいない方にもおすすめします。