「抜け殻」を含む小説

僕はカラッポだ。 たとえ話とかじゃなく、僕は本当にカラッポなんだ。 自分の名前も過去の記憶も、まったく思い出せない。それどころか僕には、顔や体さえ無かった。 僕は誰なんだろう？…

彼が死んだ。中学生を庇ってトラックに轢かれたらしい。それを知らされた時私は、一瞬だけ彼の死を悲しむよりも先にその中学生を妬ましく思ってしまった。 自己嫌悪と虚無感が生きる気力を奪…

すべてはアタシの心を奪った少女の、あの光を、捉えるために。 シニアリーグ優勝を一区切りに野球から離れている天才投手、園崎明日香は毎日を抜け殻のように過ごしていた。 「アタシと一打…

深夜を回ろうという時刻。警視庁特殊二課へ新たに配属された水瀬　唯（みなせ　ゆい）は、上司である須藤に連れられ『抜け殻』の発見現場へ駆けつけていた。Crawler（クロウラー）がこ…

俺は今日仕事を休んで砂浜にいる。期待したようなこころの動きは何もなく、ただ、自分が人生に飽きていることが認識されるばかり。独り言を呟いていたら、急にそれに応答がある。それは、二十…

結婚を考えていた恋人と別れ、知らない街で生きる意味を考えていた川島奏は、ある日入った古本屋で彼に出会った。 流されるままに薄っぺらい恋をしてきたのだと思う。 そんな自分が嫌だ…

　蝉の抜け殻のことを考えていた。 　目の前に横たわる少女は、魂の抜けた、抜け殻なのだと思った。琥珀色に輝き、詳細な部分までも完全な蝉の抜け殻を、僕は美しいと思った。目の前に横たわ…

新作です。 しっかりとしたあらすじはいつか。

僕たちが見てきた物語は、全てつながっているとしたらどうだろうか？ 自殺する人、車にひかれる人、そのあとの行方は何処へやら。きっと別の世界で生きているのだろうか？ 抜け殻になった世…

ワンライのお題に対する内容です。 【第101回フリーワンライ】　本日のお題 人を○○するということ（○○は変換可能） 自転車 -あなたに会いたい 抜け殻 -黄金の竪琴 この中…

【第101回フリーワンライ】 人を○○するということ（○○は変換可能） 自転車 あなたに会いたい 抜け殻

一人間としての｢個性｣｢価値｣などの言葉が、なんだか独り歩きしているような現代。 僕は俺であり、私は自分である。 抜け殻のような毎日。その中で成長していくのも退化するのも"自分"…

　ずっとひとりで、抜け殻のように、漫然と自宅と会社を往復するだけの日々を送る玲乃。唯一の同居者である金魚を見つめて、ふいに心に過ぎるのは高校二年生の夏祭り。 　水槽に映る自分の姿…

かつてどこかの世界、どこかの国、どこかの歴史で潰えた<物語（サーガ）>。 義兄弟をなくし、血なまぐさい戦場を駆け、そして抜け殻のように死んだ一人の戦士。 男が願ったのはひとつだけ…

蜜月の祭りに人々は集い 祭りの夜に子供らが歌う 古の乙女は戦えり 盗まれし右眼を鱗で隠し 竜の聖なる鱗で隠し 目覚めた聖なる力にて 受け継ぐ聖なる力にて この世を乱す魔王さえ 邪…

夏休みの自由工作のため、蝉の抜け殻を集めている息子。 一体何のために蝉の抜け殻で工作をしようとしているのか。 一体どこに置くつもりなのか？ その真意は……？ 自サイト「若竹庵」…

―――――――その日は突然訪れた。 この国は抜け殻と化したのだ。 原因や手段など、分かるはずもない。 日ノ本は、今を持って壊滅した。残る結果はそれだけ。 ただ、その消却をその肉体…

風花が死んだ。 風花は俺の彼女で、俺と彼女は役者の卵だった。 その突然の出来事に俺は自室に閉じこもり抜け殻のようになっていた。 それでも生きなくっちゃいけない。それはわかっている…

才能が枯れてしまった「抜け殻」の天才女性漫画家の先生と、両親も行き場も失ってしまった「娘」・咲耶の、なんてことは無い暖かで優しい「親子」の物語。 ※この小説はフィクションです。…

滅んだ世界に、廃虚のように残された、巨大なる夢蝉の抜け殻。その中に人々の街はあり、詠み人の紡ぐ物語は、殻を光で満たしていた。しかし、四六番目の殻の詠み人カタリは、物語を紡ぐことを…