抜け殻のヌケガラ

凛陰

第1話 鏡

朝が来た。

そして僕は顔を洗うために洗面台へと来た。

そこに映し出された僕の顔。

どうやら僕は、醜い姿になってしまったようだ。

それもそのはず、こんな顔を見て誰が喜ぶのか、こんなの見えない方がましだ。


僕の顔は醜い顔。

自分で見ても醜いと思う。


しかし今日は別の意味で醜かった。

それは、僕の顔に違和感は無いのだが、何故かクマの着ぐるみが被せられてた。


そのせいかいつもより顔が大きく見える。


しかし不思議なことに、着ぐるみを着たままでもご飯を食べたり歯磨きをすることは出来る。


僕はなぜこの着ぐるみを着ているかは知らない。

だが、この着ぐるみをどうしてつけているかの理由は知りたくはない。

ずっとこのままでいたい。


そう思った。



先に言っとくが僕は何の病気も持っていない。

だが健康とも言えない。


なぜなら健康の定義というのは

「完全な肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。」だ。


別に僕は病弱でも疾病を持っているわけでもない。

だが、精神的及び社会的福祉の状態ではある。


そして先ほど、僕には何の病気も持っていないと言っていたが、あれは嘘だ。

僕は精神的病、いわゆる鬱だ。

別に医師に判断されたわけでない、単なる自分の直感だ。

鬱になり、全てのことをネガティブに考える。

そうなっていくうちにだんだん僕の顔もネガティブへと変わっていく。


ポジティブなこと考えればいいじゃんと思うかもしれない。

しかし僕にはポジティブという考え方の概念が存在しない。


今も僕は人が少ない1号車に乗っている。

この醜い顔を見る人が出来るだけ少なくなるようにするためだ。

ちなみにこれは他人の為ではなく、自分のためだ。


そして、1号車は電車が事故ると1番死ぬ確率が高いのでみんな余り乗ってこない。

しかし僕にとってはいっそのこと死んでもいいので事故ることに対してはウェルカムだ。


次は〜冴え岐〜冴え岐〜♪


それからというもの、つまらないことに電車は1回も事故らずに安全運転で駅に着いた。


ここから大学までの道。

これが、憂でしかたがないんだ。


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