「伝承 短編」を含む小説

呪術師の家系に生まれた娘が珍妙な儀式を行う話 アイヌ民話を読んで胸を打たれ、思いついたので書きました。

夏休みも終盤に差し掛かったある日、男子中学生・景は友人の秋也から誘われて近所の雑木林で肝試しをすることになり…… 第３回角川武蔵野文学賞ライトノベル部門参加作品。

御岳山に伝わる「お犬さま」の伝承を、現代風に解釈＆小説にしてみました。

昔々のその昔、吉備国の南端には雄大な内海が広がっていた。 流れ着いた赤子はやがて青年となり大切なもののために戦う。 出会う相手は鬼か、それとも人か。 　　　　　 クロノヒョウさん…

世の中に、溢れる言霊と嫉妬は、WEBへと舞台を変えた。 それを祓えることは不可能だ。ログは永遠に遺り続け、消えることも、還ることも敵わない―― 「魑魅魍魎も進化したなら、我々も…

伝承として語られてきた鬼、雪女、人魚、天狗、化ける動物に八百万の神。 科学の発展により未知が解明された今、彼らは「畏怖の対象」から「隣人」となった。 そんな不思議な存在たちと過ご…

人魚の棲むという某島を訪れた学者の男が書いた記録です。 板野かも様主催の新匿名コン四季の宴にて、ダミーで参加させていただいた作品です。文体の実験ができて楽しかったです。

　未知それは多くの人を魅了してきた。科学世界になった現在、未知は解明されていき白日のもとへ曝されていく。やがてそれは神の手まで伸び、科学者によって神さへも殺して見せた。 　しか…

窓の外を見つめながらそう話すじいちゃんの目は、海を怖れていながらも、どこか寂しそうでも、懐かしむようでもあった。 北海道は道東。その海に古くから伝わる波うさぎの伝承。アイヌの人…

日本の国土ができると、伊邪那岐命《いざなぎのみこと》と伊邪那美命《いざなみのみこと》は多くの神さまを生みました。 ところが最後に火の神さまを生むと、伊邪那美命は大火傷を負って亡…

　怪物ヤマタノオロチを、酒で酔わせて倒す。言うのは簡単であるが、実際には、それはそう簡単なことではなかった。 　ヤマタノオロチの伝承を元にした、公式自主企画参加用作品。コメディ寄…

家で飼っている愛しい三毛猫、アンとウミが行方不明になった。 その夜、陽子は夢の中で『猫神さまを崇めよ……』という声を聞く。 それは、かつてこの地域で祀られていた、養蚕の守り神の名…

姉妹は、「マイメ」と呼ばれる怪異に立ち向かう。

喜久三の村は飢えに苦しんでいた。 去年から続く干ばつで作物が思うように育たない。 そんな中、喜久三は方々を駆け回り、この状況を何とかしようと苦心する。

生後半月の弟、健太がおどろおどろしい生物によって、川に引きずり込まれた。それは、過去、口減らしのための殺された赤子の霊が怪異となった存在だった。ノツゴとして私に憑いた健太の泣き声…

山の奥深くに住んでいた山姥のヤマヒメは、ある日、腹を空かせて山を降りた。 そんなヤマヒメが人里で見たものは、飢饉に苦しむ村々であった。 町は戦火にくすぶり、海には人さらい、異国の…

田峯菅沼氏の菩提寺に伝わる伝承より、 御山をめぐる観音様の霊験のお話。 〈参考文献〉 『奥三河の文化と伝説』 『甲州の武将武田氏と三河の菅沼氏』 『山家三方衆』 あと諸々聞き…

今日、はじめてセカイ主になった彼女の仮想世界に、とつぜん、とある和の神が現れてしまった。

来たるべき時を眠って待つはずの獣の前に、それは突然現れた。＊前半食肉描写が多いです。

夢をからめた十のホラー短編です。 一、『夕焼け小焼け』　買った覚えのない髪留めをつけている娘。母は思う。夢と現実にはそれほど厳密なちがいはないのかもしれない。 二、『ヤドカリ…