「幻想 短編」を含む小説

うだつの上がらないサラリーマンが、夜の公園で不思議な女性に出会い、彼女は彼にファゴット奏者であった祖父の話を語り出す。

「僕」は屋上で、幽霊の「レイ子」さんを待つ。 レイ子さんと過ごした日々が楽しかったから、どんなに酷い目に遭おうと、待ち続けることができた。 （お題で書いた小説です。 【文章】…

　　太古、世界は絶望に包まれていた。 　　語り継がれるのは、幻想的で悲壮な物語。 　　滅びの世界を象徴する「絶望の竜」、強大な黒竜を前に、人々は無力だった。 　　その舞台で…

漆黒のスーツの男から提示された七枚のカード。それぞれの背面には異なる色の薔薇が描かれ、最後の一枚には誰も見たことのない薔薇色の薔薇が。選ばなければ平凡な日常が続き、選べば人生が変…

白い雪と氷と、黒い山々に囲まれた温泉街を散策していた僕に声をかけてきた若い男は、指先が白く凍りついていた。彼はずっと昔、ある美しい池に落ちたことがあるのだと言う。

悪魔が去る日はきっと来ない。影が去る日は来ないように、永遠に。 ─ 目蓋の裏側にいる悪魔の話です。皆さんの目蓋には住んでいますか？

「わたし、青い金魚を造りたいの」 そう語っていた私の恋人は肺から水媒花を咲かせて死んだ。 火葬のあと、骨壺を確かめると恋人の骨は青い金魚に変わっていた。死んだはずの恋人との奇妙な…

天空の村では、皆が一様に黒い羽を身に付けていた。 黒い羽は思春期になると生えてくるが、主人公のピノにはいつまで経っても羽は生えてこなかった。 羽の無い人間は差別され、大きな迫害…

　2045年、量子コンピュータ研究の第一人者である霧島蓮華は、人類初となる意識のデジタルアップロードに成功する。しかし、その実験が明らかにした真実は、彼女の想像をはるかに超えてい…

ぷつん。限界は突然訪れた。過酷な仕事に心身ともに疲れ果て、退職を決意する。退職の手続きでも揉めた末、折戸昴は仕事への情熱も生きる気力も失う。 心が沈み、道に迷った折戸の目に奇妙な…

死者の心臓から芽吹き、魂の欠片を宿すその花を「白妙の蕾」と呼ぶ。 リリィは白妙の蕾を開花できる人間として、最果て島に住まう者達から注目されている。 白妙の蕾は生きる希望であり、…

柳生宗矩（やぎゅうむねのり）は、幕府に逆らった禅僧・沢庵宗彭（たくあんそうほう）を許してもらうよう、徳川家光に歎願状（たんがんじょう）を出していた。 正月、いっこうに返事を寄越さ…

　【Fairy TALK】というお伽話の登場人物と通話できるサービスのヘビーユーザーである主人公は、シンデレラが幼い頃から大好きだった。自分もいつかはシンデレラのように報われる日…

白雪姫が食べた毒リンゴについて。 カルヴァドスが導いた結論は？ ✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼ ▶同題異話企画参加作品。 ・タイトルが「ほろ酔い幻想記」であれば、それ以外の…

うちはパップちゃん。ロボットの女の子

悪魔に竜人、狼娘、おまけにエルフ……異世界の美女に幻想はあれど、つま先の臭いまでファンシーなわけではない。 要するに臭い奴は臭いってこと。 え？　俺は現代人だよ。普通の。

都心から離れた路地に佇むミニシアター「幻燈射影館」が閉店を迎える日の夜。長年通った「私」は、最後の上映作品『昭和の断片』を観るため、最終上映時間の座席に座る。不可思議な群像劇がス…

浮かんだままに書き留めた短い短い物語を一粒のコンフェイト(糖菓)に見立てて集めたシリーズです。ジャンルは色々。現代と幻想が混じったものが多め。ほんの少し口寂しい時に摘まんでもらえ…

龘——とう。龍の行くさま。 黒龍、濕灕靇のもとで暮らす薬師にして龍呪毉見習いの瑛嶺。 二人のもとに、蜿蟤籠呪を患い死を待つばかりの女童、絢琉が龍歸奔として献上される。 瑛嶺…

アイスランドの極北、日本の雪山、そして音楽ホール。 三つの場所で人類は「永遠」を追い求めた。 時間を氷の結晶に閉じ込めた研究所。 七人の美しき被験者たちが眠る雪女の館。 記憶を…