「その姿は」を含む小説

ぼくの近所にはちょっと知られた男がいる、その名は草野将大。いい年した大人なのに昼間から酒をのみ、趣味は競馬、それでお金はいつもすっからかん。だけど人情に厚く、ぼくたちと遊んでくれ…

　御世は一条。生まれつき白い髪を持ち、その姿から白絹姫（しらぎぬひめ）と呼ばれている橘晶子（たちばなのしょうこ）。しかし、日々「あやかし」や「化けもの」の噂が付いてまわっていた。…

商店街の中に、ひっそりとたたずむ創業110年にもなる古書店――記憶堂書店。 普通の古本屋だが、ある秘密を抱えていた。 パサッ。本が落ちる音がして、三代目店主、柊木龍臣は床を見る。…

その姿がどうにも切ないから、 どうしてと、私は聞いてしまった。 その姿がどうにも切なく見えて、 どうしてと、僕は聞いてしまった。 その火が燃え尽きる前にもう一度、 どうしてと、…

全身を覆うは、寒冷地仕様と言わんばかりの柔らかくも密度の高い毛。与えられたのは、他の同種より大きく立派な身体。その姿は、何も知らない者が一見すれば、鋭い爪で全てを切り裂く気高い獣…

私の知っている彼女と眼前の彼女は、どちらが本物なのだろうか。

これはまだ神々が地上で暮らしていた時代のお話。 茨木童子は黎明の鬼である。 神々の中にあってただ一人頭に角が生えたその姿はまさに異形。 神々に容姿や存在を蔑まれる中、ずっと味…

人との関わりを断絶し、海を生きるセイレーンの王女セシリーヌには、忘れられない人間がいた。 子どものころ、難破した船から助けた一人の少年……。 見られてはいけない姿を見られ、たった…

高校二年生の一宮彼方（いちみやかなた）は、小学生の時に出会った一人の少女に憧れて小説家を目指していた。文芸部に所属する彼は、幼馴染の十野祐介（とおのゆうすけ）と藍染二葉（あいぞめ…

　友人を介して知り合った女性は、自らを鬼だと言った。なにかの比喩ですか、と尋ねると、女性は眉をひそめて否定した。実際に自分は鬼だというのである。おかしな人だとは思ったが、べつに自…

無様な姿を見ることができれば、溜飲が下がる。

カラオケ好きの彼女と、二人で二次会をする。 マイクを握るその姿は昔とまるで変わらないように見えたけれど、変わらずにはいられなかったらしい。 彼女も、私も。 GLです。苦手な方は…

　人里離れた森の奥に佇む一軒の館。 　そこは訪れた者に災いが降りかかる『呪いの館』として昔から恐れられていた。 　そんな『呪いの館』に一人の浮浪児の少年が忍び込んだ。 　少年は…

起　自分は周りと少し違う。そう思いたい彼女「 小津彩也子」は天然を装ってみたり、流行り物に興味がないなど取り繕ってみたり、あらゆる手段を試したのだがいかんせん周りに流されるミーハ…

四人台本 あらすじ 今は無き老木である恋桜が、咲き乱れる様子を収めた1枚の絵画がある。その絵画に描かれていた物は桜の木だけではなかった。散りざまも絢爛たる美しい花。鳴き声遠くそ…

彼女のように生きられれば、どれほど良かっただろうか。

大陸北側にあるマクスウェル王国。 その東の果てにある周りを自然に囲まれたルナバック州に転生させられた永井誠は、そこで暮らしていたマキシと言う別人に成り代わってしまう。 その姿は幼…

魔女は走る 魔女は走る その姿を空から 他の魔女たちが見下ろしている 一様に箒に跨り見下ろしている 魔女と言うのは元来 空を飛ぶものであるからにして 一様にそうしているのであ…

問 　人類を殲滅すべく地球が怪獣送り込む世界。彼らに対抗できるのは人類の守護者、怪人のみ。 　人、怪獣、怪人。三つの勢力が蠢く世界で少年は人の姿ながら怪獣の力を手にする。 　彼は…

中秋の名月を見に外出した「自分」は、彼岸花の咲く川原に立ち尽くしていた老紳士に目を惹かれ、絵になるその姿をつい眺め続けていたのだが――。