魔女は走る

のじか

魔女は走る

魔女は走る

魔女は走る


その姿を空から

他の魔女たちが見下ろしている

一様に箒に跨り見下ろしている


魔女と言うのは元来

空を飛ぶものであるからにして

一様にそうしているのである


しかし彼女は走ることにした

地を蹴り

風を切り


筋肉の一つ一つが躍動し

肺が細かく息をして

血管が隅々まで流れていくのを

己の中に刻みながら


彼女は走ることにした


時にその足は

泥によろめき

その手は

蜘蛛の巣をまとい

その頬は

茨に切られもしたが


その魔女が立ち止まることはない


そうしている内

いつの間にか

魔女の横には

実に様々な動物たちが

並んで走り出す


日によってそれは

カモシカであったり

熊であったり

狐であったりするのだが


彼らは魔女が走る理由わけを知らないし

魔女もまた彼らが走る理由わけを知らない

知る必要もないのだから




魔女は走る

魔女は走る


森も川も

山も海も

走り抜けて行く


時に動物たちと

時に一人で


魔女は走る

魔女は走る


そうやって

朝も夜も

生も死も


ただひたすらに

ただひたむきに

走り抜けて行け

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魔女は走る のじか @Nojikah

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