「和風 短編」を含む小説

道登法師とその弟子制多。流浪の旅を続ける師弟は、真夏の山村を訪れていた。 山村の尼寺で住持を務める尼僧から、道登は助けを求められたのである。 驚いたことに、山村は日照りが続いたか…

生まれついての白髪赤眼により、忌み子として座敷牢に幽閉されて育ったわたくしは、ある日、『不言様』と呼ばれる神への贄として差し出された。 強大な力を持つ代わりに、言葉と心を持た…

龘——とう。龍の行くさま。 黒龍、濕灕靇のもとで暮らす薬師にして龍呪毉見習いの瑛嶺。 二人のもとに、蜿蟤籠呪を患い死を待つばかりの女童、絢琉が龍歸奔として献上される。 瑛嶺…

母をあやかしに殺された少女・鈴世。あやかし屋敷の新しい主人となった彼女を待っていたのは、黒狐の青年・雨月と幼い化け猫の夏目だった。 前主人の黒瀬操が遺した強大な呪いに苦しむあやか…

俺は、死にかけていた。 世界を埋め尽くす、一面の雪原のど真ん中で。血で赤く染め上げられた体を、まるで覆い隠すかのように降りしきる雪に、無力に覆い隠されながら。 そんな『白』…

吐く息が白い冬の日の朝、宮司と権禰宜はもうすぐ訪れるとある夜のことについて話していた。そこで若き権禰宜は、「さんたくろぉす」がやって来るようになった理由を知ることになる。

ある冬の日の朝、今年で十になった六郎と、その三つ年上の五郎丸は掃除の準備をしていた。二人の話題は、もうすぐやって来る「くりすます」と「さんたくろぉす」のこと。六郎は去年、とある疑…

弥助は、山奥で「破邪の試験」と呼ばれる修行を受けていた。この試験、試練の一種で、肉体的・精神的限界を超えた苦行に耐え、自身の霊力を高めるものである。試練が成功すれば真の修験者とし…

〈花〉の力を尊ぶ香山家(こうやまけ)に生まれた少女・涙茉(るま)は、とある事情から虐げられていた。 十八歳の誕生日を迎えた夜、涙茉は香山家の屋敷から逃げ出す。 死に場所を探す…

村を野盗に滅ぼされた百性の次男坊は、復讐の為に十年山籠りし、久々に外界へ下りてきた。

共契山(ともちぎりやま)で肝試しをしたトトとカカはうっかり帰り道の山道で形見の数珠を落としてしまう。途中の道で数珠を見つけたカカは数珠を探しに山道まで戻っていったであろうトトを追…

神様の力が宿った巻物を授かれる世界でお家再興を夢見る少女、三原緒國（みはらおくに）が授かったのは白紙の逸れ巻物だった。 だが、その巻物には怪異によって穢された大地、穢土を浄化する…

常陸守であった父と共に帰京したばかりの少女・紅梅は都に名高い藤原の姫君・藤原詢子に仕え始める。 人並み外れた美貌の持主である詢子のもとには数多の公達が言寄るものの、みな冷たく跳ね…

「貴女とは、どこかで会ったことがありますか？」 桜の樹であるわたくしに、突然お声をかけて下さる殿方が現れました。その方はわたくしに「名前」をつけて下さって── 昭和初期の日本…

行き詰まった人生。残されたのは無念と未練ばかり。 「おそろい」の二人は、あばら家で何を語るのか。 救いを、かたるのか。 ※「novel首塚2024」参加作品です。お題は「ひらめ…

ときは戦国。妖殺しの姫と、黄金の瞳を持つ元従者の白鬼。一度裂かれた彼らが再会したとき、従者は何もかもを忘れていた——— 家族、信念、決意、そして愛する人さえも。 幼き胸に秘め…

時は江戸。山奥に住む変わり者の侍、紅床 虎和（くれとこ とらかず）は、藩主の娘である桜から「自分を守ってほしい」という依頼を受けてから、藩内に潜む数多の怪異に立ち向かう事になる。…

「ゆめみの町」の住宅街に佇む賃貸アパート「松和荘」。 そこに集うのは、一癖も二癖もある住人たち――！？ ”松和荘のマドンナ”こと、地縛霊の文さん。 彼女の過去に迫る読み切り短編…

境工（きょうく）という珍しい職がある。神域の門たる「境（さかい）」専門の大工だ。 この短編は、少年境工アケの仕事を追いながら、その神秘の職人技を紹介するものである。 風土記系競…

皆がよく知るあの物語の真相を描いたお話です。 昔々、丹後国《たんごのくに》の海沿いにある丹海郷《おおしあまごう》という郷に住む主人公が、ひょんなことから巨大な海底都市、綿津見国…