概要
もしもこのまま死に絶えるならば、この黒に全てを包まれたまま逝きたい
俺は、死にかけていた。
世界を埋め尽くす、一面の雪原のど真ん中で。血で赤く染め上げられた体を、まるで覆い隠すかのように降りしきる雪に、無力に覆い隠されながら。
そんな『白』を拒絶するかのように、彼女は現れた。
「……お前、まだ生きているのか」
「こんなところで、何をしている」
黒い髪に、黒い瞳。黒い衣。
この何もかもが白く染め上げられた中で、唯一白に染まらない『彼女』。
『彼女』に魅入られた俺は、一度受け入れかけた『死』を拒絶する。
これは呪殺師として忌み嫌われた末に瀕した『俺』と、寿ぎの巫女として俺を拾った『彼女』の、始まりの一幕。
おすすめレビュー
書かれたレビューはまだありません
この小説の魅力を、あなたの言葉で伝えてみませんか?