魔法使いのナーズ

六年前の雪の日。日本から逃げだしたこどもたちは、魔法使いに拾われた。
イルザークと名乗る彼に引き取られた少女と少年は、この世界で生きるための名前を与えられて、魔法使いの弟子として新たな人生を歩みはじめる。
日本出身の二人は魔法なんて使えないけれど、兎にも角にもイルザークの弟子として十五の年を迎えた春、世界にはかつて封印されたはずの〈魔王〉の麾下が復活したという噂が囁かれはじめた。
そんな噂もまだ遠い田舎のオクで毎日を過ごしていたある日、お使いから帰る道の途中だったリディアは、気づけば日本の故郷に立っていた。

不仲のため家を出たはずの「兄」。ついにオクの近隣まで及ぶ魔王麾下の影、アデルとのすれ違い。
魔力をもたない魔法使いの弟子ふたり、本当の「幸い」を求める、選択と祈りのはてに残るもの。

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