『残響の灯火』

語りは、火である。
でも、火傷するのは語った本人。胃痛付き。

紅蓮王国の語り手・ユグ・サリオンは、語るたびに胃が痛む。
それでも語る。なぜなら、沈黙すら語りに届くから。
一方、帝国は語りを「幻想」と断じ、兵士の人格ごと構造から消そうとする。
記憶遮断、感情封鎖、自己認識の希薄化──それ、兵士というより家電では？

語りに怯える少女、数式で魔法を操る完璧主義者、構造を観測する魔術士、
そして語りを否定する将軍と、倫理に揺れる参謀。
沈黙の中で交差する火と構造。
語りは誰のものでもなく、誰かの痛みに触れたとき、灯る。

空白に残る火は、誰にも気づかれず、誰にも記録されず、
それでも、世界を少しだけ揺らし始める。

| 語りに触れるか、構造に飲まれるか。
| あなたの沈黙にも、火は灯るかもしれない。