主人公の成長が主題の物語においては、重要ファクターの一つに師弟関係があると勝手に思っています。そして、この物語は、まさにその関係性が土台であり、主軸となっています。
もともと高いポテンシャルを持っていた素直で健気な少年が、不愛想で寡黙だけれどつくづく優しい師匠に出会うことで、自分の運命を掴み取る。そうして、師匠の存在を土台に、新たな出会い、新たな縁を得て、色々な人たちから色々なことを教わりながら、自ら定めた目標に向かってひた走り始めます。
哀しい別れも突きつけられる現実も、子供が大人になっていく為に乗り越えなければならない道程だと知ればこそ、主人公の健気さと一生懸命さを応援せずにはいられず、故に、第一部の終わりは涙なしには読めず、そして、第二部の終わりもまた涙なしには読めませんでした。現在、物語は第三部に入っておりますが、また一回り大きくなった主人公が更にどんな風に成長し、超克すべき最後の敵に近づいていくのか、楽しみでなりません。
幼い心が目の前の大きな背中に憧れ、懸命に追いかけ、追いつき、そして、凌駕しようとする。そんな物語がお好きな方は、是非。
とても面白かったです。
ファンタジー作品特有の固有の用語が沢山出てくるのですが、それらに止まることなく物語を楽しむことができました。
主人公が小さなこどもという事もあって、一緒に世界や用語を学んでいるかのような体験が出来ました。
これが本当に楽しいのです。
物語にスッと没入できるくらい一つ一つの描写が丁寧なので、読んでいてノイズが全くありませんでした。
物語の設定や世界観も作り込まれていて、重厚な和風ファンタジーとしても楽しめたのですが、主人公と師匠の二人の関係性が素敵すぎました。
好奇心旺盛な少年と不思議に満ち溢れた師匠。
敬意を払いながら、親のように接する主人公の様子が本当に尊いのです。
和風ファンタジーが好きな方、師弟関係が好きな方。
その両方に是非薦めたい作品です。
素晴らしい作品をありがとうございました。