これぞ、師弟の物語の王道と呼ぶのではないでしょうか

 主人公の成長が主題の物語においては、重要ファクターの一つに師弟関係があると勝手に思っています。そして、この物語は、まさにその関係性が土台であり、主軸となっています。

 もともと高いポテンシャルを持っていた素直で健気な少年が、不愛想で寡黙だけれどつくづく優しい師匠に出会うことで、自分の運命を掴み取る。そうして、師匠の存在を土台に、新たな出会い、新たな縁を得て、色々な人たちから色々なことを教わりながら、自ら定めた目標に向かってひた走り始めます。

 哀しい別れも突きつけられる現実も、子供が大人になっていく為に乗り越えなければならない道程だと知ればこそ、主人公の健気さと一生懸命さを応援せずにはいられず、故に、第一部の終わりは涙なしには読めず、そして、第二部の終わりもまた涙なしには読めませんでした。現在、物語は第三部に入っておりますが、また一回り大きくなった主人公が更にどんな風に成長し、超克すべき最後の敵に近づいていくのか、楽しみでなりません。

 幼い心が目の前の大きな背中に憧れ、懸命に追いかけ、追いつき、そして、凌駕しようとする。そんな物語がお好きな方は、是非。