姫と忍びの忍法帖

作者 八十科ホズミ

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★★★ Excellent!!!

豊臣秀吉が天下統一をなした瑞祥(ずいしょう)と呼ばれる架空の時代を舞台に、凍える東北の地を亡国の姫さやとその従者紫月が駆ける。
過去のために、未来のために——

さや姫がほんとうに気の毒で、乱世とはいえまだ十二歳の少女にはあまりに辛すぎる……。そんな彼女が失意の底からどうにか自力で立ちあがろうとするさまを読みおえたとき、この子の行く末を最後まで見届けなくちゃと熱い気持ちがわきました。
ええん…さや姫好きです…大好き…だからどうか幸せになって(泣)
そんなさや姫のそばに寄り添う紫月も、少ない言葉はしやふるまいから深い愛情の持ち主であることが感じられて、登場のたびほっと安心してしまいます。

少年少女の荒旅の果てには、どんな未来が待ち受けているのか。
重厚な世界観に浸りたい方におすすめです!

★★★ Excellent!!!

史実と架空とを見事に織り交ぜて作品とし、それを書き上げているというのがまずひとつの印象である。
北の地にある架空の大名家を史実と絡め、戦国時代を置き換えていく。けれど現代人には難解すぎる歴史小説ということはなく、むしろテンポが良く非常に読みやすい。
血を流し、涙を流し、亡びた国の姫君は植え付けられた目で最後に何を見届けるのだろう。何を得るのだろう。
読みながら彼女の過去とこれからを思うと共に、そんなことを考えました。
戦乱の時代の忍者たち、もしかしたらこんな時代もあったのかもしれない。
ぜひご一読ください。

★★★ Excellent!!!

すごい。言葉にしてしまうと粗雑な印象を持たれてしまうかもしれませんが、本当にすごい。自分の感想はこれに尽きます。
時代考証、溢れる知識、迫力を感じるバトル……それでいて時代小説の体裁を崩さず、時代小説に疎い現代人にも読めるようなリズム感ある文章に終始圧倒されていました。
忍者ファンタジーという見慣れないジャンルながら、少年漫画的なわかりやすい展開、それを支える豊富な語彙と描写がしっかりしています。
まず読んでみてください。そうとしか言えません。読めば必ず虜になってしまうこと間違いないです。

★★★ Excellent!!!

しっかりとした骨太なストーリーに引きこまれます。
史実と架空のお家をうまく構成したお話で、主人公さや姫の苦しみや、未来への哀しみを纏った決意に先が気になります。

このさや姫に付いている忍び、紫月が魅力的で、言葉足らずだけれど、子供らしからぬ環境で生きているさや姫に寄り添おうとしている姿に、癒やしのようなものを感じます。

これからが楽しみな作品です。

★★★ Excellent!!!

架空の大名家が存在するファンタジーな東北が舞台ですが、実在した大名家を絡めたり、作中には存在しない史実の要素を上手くアレンジして取り入れているところが、歴史好きには堪らないですね。たまに後世のものと思しき視点から解説を入れることで、ファンタジーな設定にリアリティを与えているところも素晴らしいです。

正直、読む前は「戦国時代は好きだけど、忍者ファンタジーは少し違うかな……」と思っていましたが、そういう数日前の私みたいな人にこそ読んでもらいたい作品だと思います。

★★★ Excellent!!!

架空の戦国時代ではあっても、現実的なリアリティと忍者たちの存在のバランスが素晴らしい。もしも本当に忍者たちに特異な力があれば、こんな歴史的事実があったのでは?と思わせてくれる。

またボーイミーツガール的導入部分からの………と、これからどうなる?とハラハラさせてくれるシナリオも素晴らしいと思います。

★★★ Excellent!!!

これは――われわれの知る、実際の時代とは、少しちがう「世界」の物語。
豊臣秀吉の天下統一という、暴力的な流れが奥州を圧し潰す。
その流れの中、三鶴という国が、秀吉の命を受けた近隣諸国の大名から攻められ、崩され、滅びる――さや、という姫を残して。

その残されし姫・さやと、ある少年の邂逅から、この物語は始まります。
姫――さやが忍びの者となっているのは何故なのか?
さやの眼(まなこ)は、如何なるものを映しているのか?
ミステリアスな雰囲気で、頁をめくる手が止められません(実際はクリックですけど^^;)

ぜひ、ご一読を!