「うっかり話せたりしないかなぁ」「今、何考えてんだろ」…。
家族にペットがいる方、動物全般が好きな方。私に限らず、誰でも一度は考えた事があるかと思います。
その意思は挙動から私達が汲み取るしかありませんが、勿論、彼らにだって「思うところ」はあります。
魔獣使いでもある魔石採掘士ヘッセンと、新たに雇われた傭兵テオドル。
彼らと共に在るのは、小鳥型のムルナ、栗鼠型のラッツィー、犬型のベルキース、三体の魔獣。
これは、人から忌み嫌われる存在の魔獣と、彼らを取り巻く人間達の間に育まれる絆の物語です。
殆どの魔獣達は、人間と言葉を通わせる事が出来ません。
ですが、彼ら魔獣は互いに会話を交わします。これが、現実世界では我々が決して知り得ない「思うところ」です。
例えば種族を越えた愛情。例えば主への強い敬愛。
魔獣には魔獣なりの想いがありますが、それが充分に伝えられずに悩んだり話し合ったりする様は、ほっこりしたりクスリと笑えたりする反面、なんとも言い様のないもどかしさと切なさを伴います。
そして、事情があるのは人間もまた同じです。
他者を突き放した様に振る舞う主人公ヘッセンが、採掘士に身をやつしているのは何故なのか。
本作最大にして最高のエッセンスには、とある魔獣の存在も絡んできますが、彼らの真意を知った時、きっと胸を震わせずにはいられないはずです。
人間を中心とした本筋の展開に、魔獣の事情がテンポを損なわず挟まるので、スルスルと拝読出来てしまう上、続きがつい気になってしまいます。
加えて、非常に丁寧に独自の世界観が作り込まれています。これが物語に少なくない厚みと適度な重さを与え、結果、手に汗握ってしまう場面も少なくありません。
個人的には、彼に大きな変化をもたらすテオドルにも是非着目していただきたいです。
単純明快で賑やかしにも思える彼の言動がもたらす変化は、この物語を動かす歯車の大切な一枚なんです。
「現実世界では叶わない事を叶える」という側面をファンタジーというジャンルが持っているのなら、この物語は、間違いなくその王道をいくお話です。
長い旅路を共にした果てに、一行が育み続けてきた絆がどう帰結するのか…涙なしには拝読出来ない、人間と魔獣の想い想われる物語。是非ご一読下さい。
誰だって、一人ぼっちは寂しい。誰だって、誰かと一緒に居たいと思っている。
その誰かは、自分と同じ姿かたちをした生き物かもしれないし、もしかしたら、違うかもしれない。
けれど、お互いを思いやる気持ちと、一緒に生きたいという願いがあれば、生き物としての違いなど些細なことで、そこには必ず幸せがあり、未来への希望がある――。
この物語は、そんな物語です。
ストーリー上の必要として、時に戦いや死の描写があり、闇の中に居る登場人物たちの悩みや苦しみの感情に揺さぶられることも多々ありますが、そんな時でも、とにかく作者様の語りと眼差しが優しいので、『この先にはきっと光がある!』と信じることが出来、スクロールの手が止まることはありませんでした。そして(個人的な見解ではありますが)その信頼は何一つ裏切られることは無かったと、ここに証言いたします。
既に見事に完結なさっていますので、最初から最後まで一気読みも可能です。
もふもふが大好きな人間たちと、人間が大好きなもふもふたちの物語がお好きな方は、是非。
魔石の探索を担う魔獣たちと人間の共存を描いた長編ファンタジーです。
人も従魔も魅力的なキャラクターばかりで、それぞれに弱みや事情を抱えて精一杯生きている姿に心を打たれます。
互いを思いやりながらもすれ違う人間模様(魔獣たちを含む)の根底には、深い愛があります。
大切な人の幸せを願っているのに、時にはぶつかるときもある。
そうした心情描写が見事です。
また、おだやかな世界ながら、過去に起きたことや歴史なども含めてしっかり構築された世界観も魅力。
決してひけらかすことなく、面倒な専門用語なども使わず、必要な時だけ奥深い世界観を見せてくれます。
一度読み始めたら、キャラクターたちの過去を知りたくて止まらなくなるはず。
同時に、互いを思いあう彼らがどんな運命をたどることになるのか、見届けずにはいられないでしょう。
優しい世界でありながら読む手が止まらないファンタジー、おすすめです!
この作者さまは、大人気、オカメインコさんの飼育エッセイを執筆中である。
その読者は、すべからく、この作品を読むべきである。
ヒロイン(鳥)、ムルナが、とても愛らしいのである。
魔獣である。なんなら、敵を(弱いながらも)攻撃できたりするんだが、ほとんど、鳥。
拝読していて、頭のなかで、オカメインコさんのブルーな羽根が、ちらちらするのである。
愛らしく、クル…と鳴く。
喜ぶと、ぽわぽわ、と羽毛? をまわせる。
驚くと、ブワ、と翼をふくらませてみせる。
怒ったら、足で顔面キック!
そして、自分のことを「ワタシ」呼び。
人間には言葉は通じない。でも、仲間の魔獣、犬型、リス型には、言葉が通じ、念話のような会話をしているのだ。
そして、ムルナは、とある事で呪いをうけ、喉が異様に乾いてしまう。
それを心配そうに見守る、傭兵のテオドルが、良いっ!
これね、ファンタジーだから、良いんです。本当だったら、そんな呪いなんて、可哀想で見てられませんよ。
ムルナは、ヒロイン。
穏やかで健気な性格で、読者は「彼女」を応援せずにはいられないでしょう。
作者さまの鳥のエッセイを拝読した事のある読者さまなら、ムルナの魅力にメロメロになってしまうこと、間違いなし!
それだけでなく、登場人物、みな味があって、ある魔獣がからむ、甘く切ないラブロマンスも、少し描かれています。
一話めは、ちょっと地味な出だしかもしれません。
しかし、物語は面白く、虹霓石《こうげいせき》の謎、登場人物たちの過去、呪いがどうなるか……、読み進めていくと、読む手が止まらなくなり、あたたかな心の触れ合いに、じーんとしますよ!
おすすめです!
例えば、
勇者や魔王や悪徳令嬢やチートなんかがなくても、
スローライフや大冒険やタイムリープや死に戻りなんかもなくても、
さえないおっさんとかLV999とか特殊スキルとかがなくても、
僕は素晴らしい異世界ファンタジーが「ここ」に存在すると教えて頂きました。
緻密で丁寧な描写が、深く、愛らしく、生き生きとした小さな命達に息吹を吹き込み、
誰にでもすぐに好きになって貰える、そんな「優しさ」が溢れている物語です。
人を書く時に、どこまで深くその心にある想いを探せますか、
生き物を書く時に、どこまで優しくその心にある想いを探せますか、
筆者様のお持ちの「深い愛情」は、
この世界に生きる命達を「無限の愛おしさ」で包み込まれているのです。
お願いです。
この素晴らしい作品を知って下さい。
この愛おしい小さな命達の、息遣いを、想いを、願いを、知って下さい。
あなたが読まれた時に、ささやかに出合う小さな優しさの温かさを知って下さい。
僕はこちらの「探索魔獣は人と生きたい」をお勧めさせて頂きます。
皆様、宜しくお願い致します( ;∀;)
魔石採掘士であるヘッセン。彼は最高級品質の魔石を求めて採掘をしている。
そんな彼は魔獣使いでもあり、魔獣と一緒に魔石の採掘を行っていた。
ヘッセンと魔獣たちの護衛のために雇われたのは、傭兵のテオドル。彼との出会いがヘッセンたちの旅を変えていくことになる。
それぞれの抱える過去や事情、考え方などを知る度に愛おしくなっていく。
個人的に好きなのはテオドルさん。こんなに真っ直ぐにぶつかってきてくれる方はなかなか居ないのではないでしょうか。もう少し乙女心を理解してほしいなぁと思ってしまう部分はありますが、そこも含めて彼の魅力なのではないかなと思います笑
個性豊かなキャラクターたちと送る愛おしい日常。良ければあなたも覗いてみませんか?オススメですよ。